幼馴染が無くしてしまった大切なものって…まさかのあれ⁉︎

猫の集会

ごめん

 今日びっくりしたことがあった。

 

 

 何って、毎日通っている道があるんだけどさ、かあちゃんが昨日…

「サクラが随分咲いたわねぇ」

 と言ってきたことだ。

 

 

 え?そうなん⁇

 

 朝は、時間なくて忘れてたから学校の帰り道みたらほんとにたくさん咲いていてびっくりだった。

 

 

 …

 

 オレって…視力おちたんか?

 毎日通ってるのに全く気づかないなんて…

 

 

 

 …

 

 

 ベッドに転がって自分のてをかざした。

 

 いち、にい、さん、よん、ご

 

 指は、五本ちゃんと見えた。

 

 一メートルくらいなら離れてても見えるっぽい。

 

 とりあえず安心だ。

 

 と、ほっとしているといきなりオレの部屋に向かってドスドスと日依ひよりが走ってくる音がした。

 

 ひよりは、オレと同じく高校三年生。そして幼馴染でもあり、オレの彼女だ。

 

 

 だからってドスドス向かって来るのがひよりだとなぜわかるのかって?

 …まぁ階段走ってくるとか、うちの父ちゃんも母ちゃんもしないからな。

 

 

 

 バンっと勢いよくドアがあいた。

 

 そしてひよりは、オレの部屋に入るなり

「忘れた‼︎てか無くしものしたんだけど‼︎」

 と言い出した。

 

 だからオレはベッドから飛び起きて、

「え?何を無くしたの?てかどこにわすれたの?」

 と質問すると…まさかの…

 

「トイレにね…学校のトイレに昼間忘れた」

 というのだ。

 

「学校か、ならまだ学校あいてんじゃね?一緒に取りに行こうか?」

 とベッドから立ちあがろうとしたそのときひよりは、

「もうないよ…」

 と暗い顔をするじゃないか。

 

 あぁ、見たけどもうなかったのか。

 

 困ったね…

 

 でも、何を無くしたのだろう…?

 

「あのさ…また新しいの買うとかできないものだったりするの?」

 と、何を無くしたか確認すると…

 

「もう…買えない…てか売ってないんだよ」

 とまたも暗い顔をするひより。

 

 

 えー…よっぽど大事なもの無くしたんだ。

 

「親からのプレゼント…とか?」

「ううん…あ、まぁでも…そうともいう…のかな?」

 

 …

 

「え?手作りブローチとかそんなもの?」

「ううん…」

「もしかしたら職員室にあるかもじゃん?電話して聞いてやろうか?」

「ううん。」

 

 トイレじゃ…オレ探せないよね…

 女子トイレだし…そもそもさっき、もうなかったって言ってたし…

 

 

 

「落とし物箱になんて入らないものだし」

 

 ⁉︎

 

 え?

 

 めっちゃデカいってこと?

 てか、だとしたら忘れなくない⁉︎

 

「ひよりって…何無くしたの?」

 

 

 …

 

 

「優しい心」

 

 

 …

 

 

 …

 

 

 オレは黙ってベッドにまた寝転んだ。

 

「おやすみー」

 という言葉を添えて。

 

 

 

 

 

 

「らいとさぁ、この部屋から今すぐでてってよ」

 

 

 ⁉︎

 いきなりのひよりからの暴言。

 

 …

 

「いや、ここ…オレの部屋だし」

 

「そんなことどうでもいい‼︎ここは、わたしの憩いの場でもあるの‼︎さっさとでていきなさいってば」

 

 …

 

 ガチで優しい心無くしたん?

 

 しかも…理不尽な言い訳してオレを追い出そうとするなんて。

 

 ひよりがほんとうに優しい心をトイレに無くした可能性大‼︎だな。

 

 

「ひより…ところでなんで優しい心無くしたの?」

 

「それは…それはもちろん、らいとのせいじゃん‼︎」

「えっ?オレ⁉︎」

 

 しかも、もちろんって…

 

「そうだよ‼︎だから今すぐわたしの前から消えな‼︎」

 と、窓の方を指差した。

 

 …

 

 オレ…窓からでていくんだ?

 

 ひよりさんよ…あなたは優しい心を忘れたというよりも…なんか鬼の心を手に入れたっぽくね⁉︎

 

 

「ひより…トイレで何があった?」

「トイレ以前の問題だよね。らいとさ、今日昼休み…かわいいかわいい、それは可愛らしい女の子と楽しそうにこじんまりとした殺風景なへんぴな場所で仲良くおしゃべりしてたよね?それはそれは楽しそうにさぁ。ねぇ?覚えてる?」

 

 と、なんか圧のあるひよりからの質問…いや、尋問?

 

 

 …

 

 

 あー、一年生に音楽室聞かれたときだな。でも…なんでひよりはそんなにプンスカプスプスしているのだろうか。

 

 

 もしかしてこれは、ヤキモチというものでは?

 

 …

 

 いや、まさかそんなこと…

 

 …

 

 ある?

 

 

「ひより…もしかして、ヤキモチやいてたりする?」

 

 …

 

「え?なに?」

 

「だから、ヤキモチやいてるのかなってきいたの」

 

「ん?」

 

 あー、これはもう聞こえてるやつだ。

 

「ごめんって。ひよりー、泣くなよ」

 

「だれが泣くか‼︎」

 

「いや、見た目じゃ泣いてないけど…心が泣いてんだよな。ほらおいで」

 

 

 オレはひよりを優しく抱きしめた。

 

 

「これでもう大丈夫か?」

「…」

「そうだな。これじゃひよりの無くしものも戻ってこないな。それじゃあ一緒に無くしもの取りにいくか。目瞑って。」

「え?」

「いいから」

 

 

 ひよりは、大人しく目を閉じた。

 

 そしてオレはひよりにキスをするのでありました。

 

 それもちょっと大人なやつをね♡

 

「どう?無くした心かえってきた?まだならもっと、今度はもーっと」

「あ、うん…もう大丈夫…てか大丈夫すぎるくらい…うん。大丈夫。ちょっとわたしには刺激が…そのっ」

 

「そっか。ひより、心配かけてごめんね。大好きだよ」

「うん、わたしも大好き」

「こんどは、刺激的なのじゃないから安心して」

 

 チュ〜♡

 ギュ〜♡

 

 優しく包み込んで優しいキスをした。

 

 

 ひよりに心配かけないようにこれからは、もっとハグしたりイチャイチャして好きを伝えようと心に誓った。

 

 

 

 おしまい。

 

 

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