第19話
「ここのフロアは2年棟で上が1年、下が3年……こっちは理科室で隣は―――」
今は藪野さんに学校案内をしてもらっている。正直緊張で上手に話せない、先程から『うん』とか『はい』とか生返事しかできない。早く京奈に会いたい、女子校を少し舐めすぎていた。女の子しかいないし(当たり前)しかも全員可愛いし、顔見て話せない。もう無理だ。私のライフはとっくにマイナスだ……
「ねぇ?」
「…………あ、えっと…どうしたの?」
どうしよう、なんにも話聞いてなかった。
「私の話ちゃんと聞いてる?」
振り返り私を睨みつける藪野さんの目はマジだった。これは『聞いてた』としか答えられないだろう。
「き、聞いてたよ」
「本当は?」
目が先程よりも細まり威圧が増す。正直に言ったほうが安全だ、と本能が言っている。
「ご……ごめん聞いてなかった、」
「はぁ〜……もういい」
大きなため息をつきスタスタと藪野さんは何処かへ行ってしまった。どうしよう、明らかに怒ってる、怒らしてしまった。後で謝らなければ……今からどうしよう……ここどこだか分らないし…泣きそうだ……
キーンコーンカーンコーン
丁度チャイムが鳴ったので私は京奈に電話をかけ、迷子にはならなかった。
♢
「あーあ、梨亜とは別のクラスか〜嫌だなー」
「私もだよ」
今は京奈と2年棟に戻っているところだ…しかしやけに視線が集まっている気がする。なぜだろう?私…というより京奈を見ている感じだった。コソコソと会話が聞こえるので耳を傾けてみると『京奈さんよ…今日もお美しい……てかあの女誰よ!私達の京奈さんに……許さない』『そうよ…絶対に許さない』などが大半だ。
二割くらいの人は『あの白髪の子誰〜』とか『可愛い〜』とかだった……にしても可愛いか、…フフ♪まぁちょっとは嬉しいかな〜、ちょっとだけだけどね〜フフフ♫
「梨亜、何ニヤニヤしてるの?ちょっと気持ち悪いよ」
「え!?そんなに顔に出てた?」
「うん」
まじか〜……でも『気持ち悪い』は言い過ぎじゃない、京奈?私も人だから流石に悲しいんだけど……
「はぁ〜」
「そんなに気持ち悪かった!?」
「いや違う…………この視線がさ……」
「あぁ〜ね……いつもこんな感じ?」
「うん、まぁいじめが始まる前はこんな感じだった。今はもう志摩がいないから完全に元通りかな…………でもここまで来ると面倒くさいんだよね、友達作ろうと思って話しかけても『私と京奈さんでは釣り合いませんわーーー』的な事言って逃げられちゃうし……」
…………本当にいるんだ、漫画とかの世界だけだと思ってた、ですわ口調の人。是非ともあってみたい。そして友だちになりたい。……あ、あと京奈が異性からも同性からも持てるのは昔からのことなので今更驚かない。
「……あ!いいこと思いついた!梨亜、ちょっとこっち来て」
「え、え!?」
急に腕を捕まれ私は京奈に……半ば無理やり連れ去られてしまった。女子トイレに……
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