278 さぁ、世界を再生しよう! ②
「<大古式聖天使ロード・ミカエル>をサモン! カードを二枚セッティングしてターンエンド!」
「……私のターン!」
ファイト開始、こちらはいつもどおりの無難な立ち上がり。
俺のターン終了を受けて、ハクさんが動き出す。
モンスターを展開し、最初のエースを呼び出した。
「私は<伝説の仮面道化 ヴォーパル・バニー>をサモン!」
「まずはそこを止めさせてもらおうか、<ゴッド・デクラレイション>!」
「<ヴォーパル・バニー>が破壊された時、<仮面道化 ヴォーパル・バニー・ミニマキシマム>をセメタリーからサモン!」
どうやらハクさんは、<ゴッド・デクラレイション>を撃たれる前提で次の展開を想定していたようだ。
ネッカ少年なんかは、基本この戦術で俺の<ゴッド・デクラレイション>を踏み越えていく事が多い。
「更に<ミニマキシマム>のエフェクトで<ヴォーパル・バニー>をデッキに戻し一枚ドロー! 続けて行きます!」
「もう一度サモンするつもりか……!」
「はい! 来てください! <伝説の仮面道化 ヴォーパル・バニー>!」
かくして、エースは再び舞い戻る。
<ヴォーパル・バニー>がエフェクトで<ロード・ミカエル>を破壊。
さらに攻撃でもう一度<ロード・ミカエル>を破壊。
俺の最初のエースはあっさりと退場した。
「とは言え、ここからだ。<過去と未来と現在の繋がる場所>!」
「むう、我と同じ戦術を!」
「俺も前から使ってるカードだからね!」
デッキとセメタリーからモンスターを展開して、次のターンにつなぐ。
「……思えば、このカードは店長さんからいただいたカード……でしたね」
「そうだったね。俺としても、ハクさんが使いこなしてくれて嬉しいよ」
<伝説の仮面道化 ヴォーパル・バニー>。
ハクさんを痴女に目覚めさせた罪深いカードであり、ハクさんが一皮むけて変態を遂げたカードでもある。
それ以前からハクさんとは面識こそあったけれど、俺達の道が交わったのはあそこが最初だったかもしれないな。
「天の民のせいで、白月がおかしくなってしまった時だぁ……許さんぞ……天の民……」
「れ、レンさん……」
なお、レンさんは恨み節を飛ばしていた。
なんかごめん……
「で、ですが! これこそが本当の私、本当のハク! 月兎仮面です! それは絶対に譲れません!」
「……まぁ、白月がつよくなったことは理解している。それはそれとして天の民を許せんだけだぁ!」
「ご、ごめんって!」
とにかく、ファイトを続けるぞ。
俺のターンだ、手札を見て――
「俺は<大古式聖天使 デュエリスト・エレア>をサモンし……」
『ふごごー! すぴーーーー!』
どうやら寝ているところだったらしいエレアを呼び出し、そのまま素材に<極大古式聖天使 アークロード・ミカエル>をサモンした。
その後、<ヴォーパル・バニー>との戦闘に勝利、<伝説の仮面道化 ヴォーパル・バニー>はセメタリーへと送られる。
「何だったんだ今の」
「わかりません……」
「気にしない気にしない、どうせエレアも起きてないから気づかないって。俺はカードを一枚セッティングしてターンエンド」
ここまでの流れは概ね既定路線。
続くターン、ハクさんは<仮面道化 ヴォーパル・バニー・カルバノグ>をサモン。
<アークロード・ミカエル>と激しく激突する。
動くとしたら……このあたりか。
「<
「このタイミングで分身を!?」
「来てください! <ヴォーパル・バニー・カルバノグ>!」
ここ最近のハクさんが得意とする、<ヴォーパル・バニー>の増殖戦術。
溜めて溜めて溜めて、一気に最終エースである<ルナティック・ヴォーパル・バニー>を解放するのが鉄板だが。
ハクさんは奇襲を仕掛けてきたようだ。
セメタリーの<ヴォーパル・バニー>は二体。
一体なら<アークロード・ミカエル>の破壊耐性とセッティングしたカウンターエフェクトで攻撃を止められるはずだったが。
三体はまずい。
「このまま行けば、ここで天の民が敗北だぞ!」
「流石にそれじゃあ……再生できる世界もないよな! カウンターエフェクト<ガードロー・ウォール>を発動!」
戦闘ダメージを0にして、カードを一枚ドローするよくあるやつだ。
これを、<アークロード・ミカエル>が破壊された後に使用。
つまり一回目の<カルバノグ>の攻撃を<アークロード・ミカエル>が受け、二枚目をこいつで受けたのだ。
そして三枚目が攻撃する前に――
「ターン開始時のドロー以外で手札に加わった<古式聖天使 ファイアウォール>はそのままサモンできる! 更に<ファイアウォール>は戦闘では破壊されず、サモンされたターンの終了時に自身をセメタリーに送ることでデッキから二枚ドローする!」
「く……私はカードをセッティングしてターンエンドです」
昔から俺を支えてくれた相棒、<ファイアウォール>くんをセメタリーに送りカードをドロー。
これまでも俺のファイトを支えてくれていたソニック・ウォリアーみたいなカードだ。
感謝……
「俺のターン、反撃と行こう!」
「ターン開始時に、私はカウンターエフェクト<
なんて強力なエフェクトだ。
<カルバノグ>を三体サモンしたのは、これを利用して俺の行動を妨害するつもりだったのか。
<ヴォーパル・バニー>の分身にはセメタリーに<ヴォーパル・バニー>が必要。
そのコストとなる<ヴォーパル・バニー>も分身で確保できる。
単純ながら、プレイングの洗練を感じるな。
とはいえ――
「そういうことなら、俺はその発動に対して<古式転換>を発動! 更にその発動に対して<古式復活>でモンスターをセメタリーからサモン」
「……あの?」
「俺はフィールドにサモンされた<デュエリスト・エレア>と手札のモンスターを素材に――」
『ふごごごご、グオゴゴゴごご』
いびきのすごいエレアを素材に、俺はモンスターをサモンする。
「来い! <極大古式聖天使 エクス・メタトロン>!」
俺の最終エース、<エクス・メタトロン>だ。
「更に、素材になった<古式聖天使 エッサンス>は<エクス・メタトロン>の素材になった場合、<エクス・メタトロン>に三回攻撃のエフェクトを付与し、攻撃力を上げる。このエフェクトは常時発動のエフェクトだぞ」
「……あの!?」
「さぁ、こちらの処理が終了して<仮面道化・幻惑>のエフェクトが適用された。ここから三回俺はエフェクトの発動を妨害されるが……バトルだ!」
「あのあのあの!?」
三回攻撃で、<カルバノグ>を一掃する。
ここまで、俺は<仮面道化・幻惑>が適用されてから一度もエフェクトは使っていない。
そのままカードをセッティングして、ターンを終えた。
「……どうして私が戦うトップファイターは理不尽な人しかいないんですか!?」
「諦めろ白月、トップオブトップは、ただのトップファイターよりも更に格上。理不尽などいつものことだぞ」
「酷い言われようだな!?」
なんて言われようだ。
ちょっと三回妨害されるから、その妨害が適用される前にエースをサモンして三回攻撃で敵を一掃しただけなのに。
「さて、本番はここからだ。どうする……ハクさん!」
「私、この人に勝たなきゃいけないんですね……」
「絶望に負けるな、白月!」
人を絶望扱いしないでほしい。
エース破壊したと思ったら、モンスター全破壊しつつ最終エースが湧いてくるダイアのほうがよっぽどだと思うぞ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます