第49話

49



 あと、オンライン上のHPに掲載されているプロではない作家の書いてる作品のほうが遥かに面白いよね~。



 たまたま面白い作品に当たらなかっただけかもしれないけど

自分には翻訳本のハーレクインはぜんぜんだめだった。



 ハーレクインの中から良さげな作品があれば何か参考にできればと

思っていたのでガッカリだ。


 実はハーレクイン本から何かプロットが閃かないかと考えていただけに

ガッカリ感は半端なかった。



 店を出ようと陳列されている本を眺めながら歩いているとふと氷室冴子氏の作品で昔図書館で借りて読んだことのある『なぎさボーイ』『多恵子ガール』……と並んで陳列本の中にある『北里マドンナ』に気付き、私は吸い寄せられた。




『なぎさボーイ』『多恵子ガール』に番外編なるものがあったとは、

知らなかったぁ~。



あぁぁ、何という僥倖。



 私は迷うことなく即座に購入した。




 なぎさと多恵子の話には、ずっと納得のいかないものを抱えていた私は

この番外編が二人の関係について私を納得させてくれる何かがちりばめられているのではと思ったからだ。




 私は購入すると『北里マドンナ』を読むべく脱兎のごとく家へと向かった。


 かっ、買い物……は、忘れた。

 それどころじゃない、早く読まなければと。




          ◇ ◇ ◇ ◇





 番外編ともいえる『北里マドンナ』では、あのなぎさと親友で、

なぎさや多恵子たちとグループでつるんでた紫川こと北里のその後の恋バナが描かれていて、この中にでてくるなぎさは部活に一生懸命で、多恵子ともうまくいってるようだった。





 なぎさと多恵子の間に割り込むようにしてなぎさの気持ちを自分のほうにけようとやっきになっていた槙修子も出ていて思わず


『おいっ、出て来なくていいよ』


と呟いてしまった。





 なんと北里はその修子にLoveだったりしていた。




『えーっ、そんなの却下……却下……』


 私は読みながら怒ったり怒ったりと感情の振れ幅はないが、心中穏やかではいられなかった。



 ドキドキしながら急いで読んだのに『なんなの、これぇ~』

 

 目の前にいない読者に向かって叫んでた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る