第41話

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 なんかぁ、経済的に困ってないし、これからも困窮することはないと

思うけど、私の中では『落ちぶれた私』っていうのがずっとあったのだ。



 でも、落ちぶれてないー私。

 だってどんどん浮上するんだもの。

 コミカライズ、楽しみー。



 大きな楽しみができたことと、自分に共鳴してくれる人に出会えたことが、私に密かな喜びと大きな力を与えてくれた。


 落ち込むと人は『私なんて……』となると思うんだけど、それだと運気が下がるだけ。



 こういう時は『私なんて……なんて素敵ぃ~』と思うことにすると

いいらしい。




          ◇ ◇ ◇ ◇



 山下さんから現実の夫のというか先で夫が継ぐ会社の実際のところの

状況などを聞かれ、夫と伊達百合子の今をふと思った。



 もう子は産まれていることだろう。


 夫も義両親も産まれてきた子を挟んで新しい次の嫁確定の伊達百合子らと喜びを分かち合っているのだろうか、銘々どんな気持ちで……どんな顔をして? と思わずにはいられない。



 もはや嫉妬心も怒りもないけれど、素朴な疑問よぉ。



 裏切り者と泥棒猫は互いに相手が約束を違える相手であることを

知っていて、人のモノをちゃっかり奪う相手であることを知っているのよね。



 そんな人間同士がどうやって相手を信頼し合えるというのだろう。

 笑っちゃう。



 百子がまるっと赤裸々に書いた自分の中の醜い感情、それは身近な人間

で特に夫にや義両親たちには知られたくないものだった。



だからそこだけは

『可能性として、そうではないのか』くらいの表現に抑えておきたかった。



 ―――― 自分の子ではない子をこの先我が子と信じて養育し、他の男の子を

伸之の子だと誑かし伸之にぶら下がろうとする女を養っていくという夫。



 想像するだけで痛快じゃないか。

 


 遠い先で伸之が病に臥せり、子供たちへ渡す遺産相続などの問題が浮上

した時に、DNA鑑定の申請をしてやればいい ――――


そう呟いた個所だ。








     ――――――― メモ ―――――――



◇『私なんて……なんて素敵ぃ~』

このセリフは【はせくらみゆきサン】がYoutubeで語られていた

ものを使わせていただきました。

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