冬眠

 趣味でやっている木彫のモデルにしようと、わたしは冬眠中のカエルを捕まえにいった。

 なぜカエルなのかといえば、何と言ってもまずかたちが面白いし、冬眠中だから動きが鈍くてモデルにしやすいからだ。

 近所にある池のほとりの土手を掘ると、手のひらほどもある大きなヒキガエルがたくさん捕れた。帰ってから選別するつもりで、捕れたカエルをどんどん袋に詰め込んでいった。

 家に戻ると袋がやけにモゾモゾして、開けると中からカラスがワラワラと飛び出てきた。

 つまりカラスはカエルに化けて冬眠していたのだが、冬眠から目覚めたので姿が元に戻ったというわけだ。

 それでわたしは代わりにカラスの木彫を彫ることにした。

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