3.多細胞生物
真核生物ができれば、次はもう決まっているな。
「多細胞生物ちゃん、誕生~ぱふぱふ」
「おお、すごいのじゃ。やっと生き物っぽくなってきた」
海の中では様々な多細胞生物が生まれ種が爆発的に増えていく。
これが現代から十億年くらい前だな。
「なにができたかって、口ができたんだ」
「口なのじゃ?」
「今でいうところの珊瑚とかの原始的な口な。これで捕食するようになった」
「やっと他の生物を食べるようになったんじゃな」
「そういうこと」
口はあっても肛門がない。
今までも細胞膜からいろいろ取り込んで生きてきたけど、今度はしっかり口になったんだ。
「また隕石衝突したり、全球凍結したりしたぞ」
「あぁ、またなのじゃ」
「んだんだ」
何回も起きるんですね、わかります。
億年単位だと、そういうこともあるらしい。
そういうしているうちに、多細胞生物ちゃんは口以外に肛門ができたりする。
それから先に肛門ができて後で口ができるタイプも生まれたりする。
それで内蔵ができて、と体内も細分化されていく。
「生き物っぽくなってきた」
「なのじゃな」
ここまでくれば、もう一億年ボタンはいらないかもしれない。
代わりに「一千年ボタン」を使おう。
「古代、生物爆発」
「なにが爆発したんじゃ?」
「生物の種類が爆発した。急激に増えた。ただしまだ海中の話だな」
「そうなのじゃな」
「地球でいうところのカンブリア爆発とかだな」
「三葉虫のころじゃ」
実はまだ植物も海中にいて、地上にいない。
だから地上は土が剥き出しで、全世界不毛な砂漠みたいになっていた。
まあ地上にもバクテリアはいたみたいだが小さくて見えない。
これが五億年くらい前の時代だ。
「そしてついに、植物上陸!」
「おおお、やっとか」
四億年くらい前だろうか。
シダをはじめとする植物が地上へ上がってくる。
「次は節足動物の仲間が上陸を開始だな」
「これで地上も豊かになるのじゃ」
地上は森ができ、節足動物パラダイスとなる。
巨大なムカデが地面を縦横無尽に動いていく、とかそんな世界。
「ちょっと怖いのじゃが」
「まあ、想像するとな」
だいぶ世界も楽しくなってきた。
「ちなみにだが、まだ木を分解できるキノコ類がいないんだ」
「へぇ」
「それで倒れた木はそのまま残って埋まっていき、石炭層を作った」
「あぁ、なるほどなのじゃ」
「脊椎動物もすでにいるぞ」
「おお」
もちろん隕石の衝突や大量絶滅なども何回も経験しながら進んでいく。
「魚類からはじまって、両生類が地上へ上がって、爬虫類へ」
「ついにじゃ」
「そうだな。爬虫類は恐竜へ」
「ただここは異世界なので」
「そうだな」
「言い方を変えよう。ようこそ、ドラゴンたち」
空を飛ぶドラゴンの仲間が生まれた。
こいつら、けっこう古い種なのだよな。
ある意味、ファンタジー世界は恐竜が絶滅しなかった世界線といえるかもしれない。
翼竜なんかもいればワイバーンだしな。
一匹で千年とか生きているので、ちょっとこいつらの生命パターンは謎だ。
「そんなこんなで、異世界的にはそろそろ誕生しなければならない種がある」
「ありますねぇ、どうぞなのじゃ」
「それははい、どうぞ」
「じゃじゃじゃーんなのじゃ。ようこそ、エルフたち」
哺乳類まで進化した種の最後はどんどん進化して、エルフになった。
まぁこれはちょっと俺たち神様チートによる強制進化が関与しているので、地球世界とは異なる。
「強制進化ボタン、これも千ゴールドの課金だったわい」
「また課金ですか、けっこう投資するのじゃな」
「まあ、必要経費なので」
「しょうがないのぉ」
あそうそう忘れていた存在があった。
「創世の木、ユグドラシルが生えて成長を始めたのもエルフより前だな」
「そうか、そんな木もありましたのじゃ」
「でっかいでっかい木。植物の最高峰。世界樹だ」
世界の中心に生え、三千メートルくらいあると言われている。
そんな世界樹も遥か昔は小さな芽から生えた一本の木に過ぎなかった。
何本もあったのだろうユグドラシルも色々な災害を免れ、現代まで残ったのが一本の世界樹と呼ばれるということだ。
「といことで、適当な大きさのユグドラシルは何本もこのころは生えていたんじゃな」
「うむ」
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