第26話 如何する 阿仁間視点
実地訓練があった翌日
阿仁間は見知らぬ部屋で目を覚ました
「……見知らぬ鉄格子だ。ここは、牢屋か? 何で、こんな所に……」
そこで、ある物を思い出し、首を触るけど何も付いていなかった。
ホッとしたが、直ぐに自身の両手首に付いてる腕輪に気付いた。
そこで、昨日の事を思い出す阿仁間
「取れないね、何故こんな物が?……昨日は、実地訓練の途中で城に戻って怪我を負っている人は治療を受けた。
その途中エレアナ皇女が入って来て、食事の用意をしていると言われた。
皆の治療が終わって部屋を移動して、食事を食べていたら急に睡魔が……睡魔? 何故いきなり眠気に襲われて……まさか?!」
思い返してあることに気付いた阿仁間
「ふ~ん、貴方は直ぐに気付いたのね。あの東城とか言う男と勇者の秋多は気付かなかったけど。
すぐ気付くかと思いましたが、気付かないとは間抜けなのかしらね」
「エレアナ皇女?! ぐっ?!」
突然、エレアナが連れている3人の衛兵の1人が、鉄格子の隙間から槍の石突で阿仁間の腹を突いた
腹を抑え蹲る阿仁間に見下す目を向けて
「エレアナ皇女様と呼びなさい。道具の分際で頭が高い」
「……なるほど、それが本性かエレアナ皇女……ぶっ!」
衛兵が槍の柄で阿仁間の頬を殴り飛ばした。口から血が垂れる
「お前も馬鹿なのかしらね。全く隷属の首輪が付けれたらこんな面倒な事はしなくてすむのよ
わざわざ魔力封じに
「くぅ……首輪が付けれない? どういう事ですか? エレアナ皇女……様」
ふらふらなりながらも右手で支えて、上半身を起こしながら聞く阿仁間
阿仁間に様付けで呼ばれ鼻で笑い飛ばして
「ふん、まぁ教えてあげましょう。勇者 秋多と聖女 多立とお前は何故か首輪が付けられなかった。
だから、あの2人は懐柔して従わせる事にしたの。早速、秋多は用意した女達の虜になってるわよ。笑えるぐらい単純ね
多立はまだみたいだけど、すぐに堕ちるでしょ」
「なるほど……あの2人はすぐに手懐けられると踏んだわけ……ですね。僕には通じないと思い力を封じて痛めつけて従わせるつもりですか……がっは?! ぐぅっ?!」
衛兵が槍の石突で腹を突き蹲ると、背中を槍の柄で叩き付けた
「正解。ご褒美にもう1つ教えてあげましょう。
あの東城と言う男は隷属の首輪を付けたけどお前達の次ぐらいは使えそうなのよね。
だ・か・ら東城の首輪に少し細工して一緒に召喚した女共と同じ部屋に入れてあるの。
全員ではないけど。 今頃、阿呆みたいに腰振って楽しんでいるでしょうね」
「なっ?! がっ! ぶふっ! あぐ! あぎ!」
思わずエレアナ睨んだ阿仁間に2人の衛兵が槍で叩きまくる
痛みで起き上がれずに顔だけ上げてエレアナを見る阿仁間
「それで、如何かしら? 私の道具として使われる気になった? そうすれば、命はある状態で死ぬまで使ってあげるわよ」
「ふっ……断る……ぶべぇ!」
阿仁間の顔を槍の柄で叩く衛兵。手を上げて止めるエレアナ
痛みを堪えて顔を上げる阿仁間。エレアナの顔を見て目を少し見開く。
今まで見たことない残虐な笑みを浮かべていた
「そう、甚振りがいがあるわね。そうそうお前に付けた腕輪の1つに一晩経つと傷が回復する腕輪を付けてあるの。結構、高価な腕輪よ
せいぜい楽しみなさい……やれ」
衛兵に牢屋の鍵を渡して地下を出るエレアナ
鍵を受け取った衛兵は扉を開け、阿仁間を武器は使わずにひたすら殴り蹴りを交代しながら夜になるまで続けた
もはや立つことも出来ない阿仁間の顔の側に硬いパンが1つとコップに入った水が置かれた
「あれだけ痛めつけて首を縦に振らないのは大した根性だな。後、何日持つか分からないがストレス発散で楽しませてもらうわ」
鍵を掛けて出ていった衛兵。
少しだけ頭を動かそうとするが、痛みで動かせなかった
(くっ……殴る蹴るだけだが、好き勝手にしてくれたな。明日には傷は全て治るのか?
其れにしてもあんな性格だったとは……隷属の首輪が出て来た時点でもっと警戒していれば!
いや、終わった事に怒っても仕方ない。
そう言えば、彼女たちの姿は見えなかった。あの騒ぎで逃げ出した? 仮に逃げていたとしても……無事ならいいが
エレアナが言うことが本当なら彼女が自由に動け……ないな。間違いなく監視は付くか
他のクラスメイトの女の子達も今頃は……
兎に角、この痛めつけに耐えて何とか逃げ出す方法を見つけないと……いや、見つけてみせる)
一旦考えるのは止めて痛みを堪えて体を動かす阿仁間
「まだ……痛いが……体は動く」
(少し動かせるのは回復の腕輪の効果か? 一晩経つと傷が消えるとは、少しずつ治るのだろうね)
頭を動かしてパンとはコップを見る
「何とかして……食べないと……」
ゆっくり手を伸ばし震える手でパンを持つ阿仁間
どんなに痛めつけられても、その瞳には力強い光が宿っていた
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