第15話
なぜか一騎討ちになり、コゴルとコボルトチーフのリオンが対峙している。 周りのゴブリンたちが歓声をあげている。
(なんでこんなことに...... みんなノリノリだ)
『理性があるとはいえ、モンスターですからね。 多少好戦的ではあるのでしょう』
「コゴルやりすぎちゃだめだよ」
一応釘を刺す。
「はい、わかっています」
「やりすぎる...... バカなことをホブゴブリンごときに、コボルトチーフのリオンが負けるなどあり得ん」
もう一人の大型のコボルトがそう自信満々にいった。
(まだホブゴブリンだと思ってる...... まあいいか、みればわかるし)
「ガオン、まあ俺達の力を見せつければいい。 そうすれば戦うことなど無意味だとわかる」
そうゼオンはいう。
(かなりの自信だな)
「お互い木の剣でね。 魔法も殺傷力のあるのはダメ。 じゃあはじめ!」
おれの声と同時にコゴルが剣を振り下ろす。
ボキャッ ダンダン! ダンッ! バタッ
剣がおれ、叩かれたリオンは二、三回、地面をバウンドして落ちた。
「ほわーー!! やりすぎたらだめだっていったのに!!」
サクトが駆け寄り、覚えた回復魔法でなおしている。 そしてこちらをみるとうなづいた。
「ふぅ、やばかった...... もうコゴル!」
「す、すみません! つい力がはいってしまって!」
コゴルがあやまる。
「なっ...... なんだと、ただのホブゴブリンに...... こんなことはありえん! ならば次はおれだ!」
「まて!」
ガオンがでようとするのをゼオンがとめた。
「ゼオンさま......」
「これは見立てがあまかった...... こいつは強い。 今のでわかった。 俺がいく......」
ゼオンは真剣な顔でそういった。
(ほお、すぐに考えを改めるのか。 さすがに族長)
「ひとつ聞く、こいつより強いのは何人だ」
足をとめそうこちらに聞いた。
「うーん、アプラとサクトかな。 おれは剣とか使えないし魔力だけ上回る」
「......そうか」
ゼオンは真剣な顔でコゴルと対峙する。
「じゃあ、はじめ!」
一瞬で二人は交錯した。
コゴルとゼオンの剣の打ち合いは、早すぎて周囲のゴブリンたちは呆気にとられている。
「速いな...... 目でおうのがやっとだ。 ホブゴブリンをなめるのも当然か」
「ええ、剣はゼオンのほうが速いみたいです。 かなりの練度...... 我々より剣技ははるかにうえですね」
「そうだな。 コボルトはプライドが高く孤高の種族、しかもコボルトリーダーまで進化するとなると、かなりのモンスターを倒してると考えていいとおもう」
アプラとサクトはそういって二人の動きをみている。
(まあ、ゴブリンたちがまともな剣をもったのは最近、訓練はしているけど、やはり劣るか...... ならコゴルは)
「ストーンガード!」
コゴルは地面から石の壁をだした。
「エッジクロー!」
それをゼオンは剣をもってない左手で切り裂く。
「あれはなんの魔法?」
「魔法ではなく、おそらく魔力をまとわせた爪ではないでしょうか。 我々がしらない魔力の使い方ですね」
アプラはそう興味深そうに分析して教えてくれた。
(魔力はそんな風にも使えるのか)
『おそらく戦闘用に開発したのでしょうね。 魔力そのものを魔法などにせず、外側に展開して物理的に戦っているようです』
(なんか使えそうだな......)
コゴルとゼオンは一進一退を繰り返した。
「ばかな。 あのゼオンさまがホブゴブリンごときに......」
ガオンが、言葉を失っている。
「いや、コゴルはホブゴブリンじゃないから」
「まさか、ゴブリンエリートとかいうやつか!」
「んーん、バロンゴブリン」
「ば、バロンゴブリン...... そんな上位種などみたこともない。 存在しないはずだ......」
「でも実際このアプラもバロネスゴブリンだしね」
そういうとガオンは目を見張る。
「で、では、二人より強いものはなんだ!?」
サクトをみていう。
「ああサクト? アールゴブリンなんだ」
「あ、アールゴブリン!? そんなばかな...... だが、あのゼオンさまがここまで押されるやつより強いなら......」
二人は肩で息をしている。
「もうやめなよ」
ゼオンが振り返る。
「だが......」
「ゼオンならわかるでしょ、コゴルとアプラ、それにサクトと戦っても無駄なことは」
「ぐっ......」
唇を噛むと座り込む。
「ゼオンさま......」
ガオンは近寄る。
「いったいなんでここを欲しいんだ」
「......我らではない」
「ん? コボルトが欲しいんじゃないの?」
「我らは命じられここにきたのだ......」
そうガオンが語る。
(黒幕がいるのか......)
とりあえず話をきくことにした。
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