第96話 大決戦! 人類VS神です

「撃てぇぇぇぇ!」


 魔法隊がメイズに魔法を放つ。

 一撃はそれほどの威力ではないが、この人数だとかなりの脅威である。


「ち、うるさいモブどもが! 消え去るがよい!!!」


 巨大な魔獣と化したメイズが魔法隊に強烈なブレスを放った。


「避けようとしなくていい! 攻撃に徹してくれ!」


 俺は魔法隊に放たれたブレスをエクスカリバーの結界を使って向きを逸らした。

 天高く消えていくメイズのブレス。


「な、なぜだ。なぜクソ勇者ごときの結界に我が最強のブレスが弾かれる!?」


「単純なんだよ。攻撃も、考え方も」


 それと弾いたわけじゃない。

 向きを変えただけだよ。

 神の精霊石で強化されたエクスカリバーなら、これくらいの事はできて当然だ。

 そうして、魔法隊による更なる追撃がメイズを襲う。


「ぐああああああ!?」


 さっきまでとは違って、その攻撃で各箇所から血を吹き出すメイズ。


「なぜ、モブがこんな攻撃力を!?」


「これがエクスカリバーの本当の効力だよ」


 エクスカリバーの真の強さ。

 それはだった。


 神の精霊石により、範囲も効力も大幅に上昇したエクスカリバーは場にいる全ての味方にその膨大な効力を発揮する。

 今はどれだけの人数がいても、全員がエクスカリバーのバフを受けられる状態だ。

 人数が多ければ多いほど、その恩恵は大きくなる。


 一人一人のモブは、もはやモブと言えるレベルではなくなっていた。

 皆が主役級の強さを持つモブなのだ。

 だから、俺が神の精霊石を使うのが最も効果的だった。


「くそ、どういうことだ! 何が起こっておる?」


 勇者は味方が多ければ多いほど強くなる。

 メイズはこの裏設定を知らなかったらしい。

 原作では我儘で無能だった勇者に味方なんていなかった。

 だから、知らなくて当然かもしれない。


「ふふふ、では私の本気を見せてあげましょう」


 特にスカーレットの魔力は強大だ。

 いや、強すぎる??

 ルビア級の出力だぞ。

 スカーレットがこんな力を隠し持っていたのか?


「こ奴、どうして埋もれていた!?」


「私はいつまでも世界の不思議を求め続けたいのです。それを妨害する者は、消すだけです。私の楽しい毎日を邪魔させませんよ」


 彼女はただ世界のミステリーを求め続けたいだけらしい。

 本気を出せば、世界最強に近い強さなのに、ただ興味が無かっただけのだ。

 この人、マジで主人公では??

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る