第93話 悪役令嬢さん、ついでに『ざまぁ』をします
周りの人たちが次々と叫び始める。
「その者が神を騙った偽物。勇者様を罠に嵌めてようとしているのでしょう! その手には騙されません!!」
「ええ、間違いありません。言葉の節々が怪しい」
「我らミステリ研究ギルドの目を欺けるとは思わんことですな!」
おお、流石はミステリーマニア! きちんと考察してくれたか!
いや、今はミステリーとか全く関係ないけど。
それでも嬉しい。
「そうだ、これまでの事も勇者様のテストに違いない」
「勇者様は我々を試しておられたのだ!」
いや、それは流石に違うけど!?
でも、懐かしいやり取りだ。
これも俺が築いてきた時間か。
「勇者様の敵を倒せぇぇぇぇぇ!」
そうして全員がメイズに向かって手を向ける。
「ば、ばかな。我が正しいのだぞ。我は神で、そいつは偽物だ。本当だぁぁぁぁ!」
その通りだ。
メイズは嘘を言っていなかった。
俺は本当のグロウじゃないし、メイズは神の眷属だ。
でも、そんなのは関係ないんだ。
俺たちがこれまで築いてきた時間は、誰にも否定できないのだ。
「へへへへ。悪の天使め。『ざまぁ』みろ」
メイズを論破したルビアは、悪い笑みを浮かべていた。
さすが悪役令嬢。もうどっちが悪か分からない。
「スカーレット隊。攻撃開始!!」
四方八方から魔法兵器による集中攻撃がメイズを襲う。
さらにカイルのブルードラゴン。ルビアのブラックホールリゲインも加わった。
流石にこの一斉射撃はメイズにとってもきついはずだ。
「愚か者どもが!!」
だが、その攻撃をメイズは結界を張って防いでいた。
「神の精霊石がある限り、我に負けはない! この結界は全ての魔法を無効化するのだ!」
メイズが手に持っている神の精霊石は『全ての魔法を無効化する』らしい。
確かにこれは厄介だ。
あのアイテムをどうにかしなければ、俺たちに勝ちはない。
「なあ、カイル。さっき、俺に『手の内があるのか?』って聞いてきたよな?」
「急になんだ?」
「あるんだよ。俺にも『切り札』があるんだ」
実の所、俺にも『作戦』があった。
それはたった一度だけ使える最大の作戦。
今からそれを発動させる。
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