第23話

第6章 3月〜。僕がいない間に…。


3月31日交換 〜小児科〜

「いないなぁ。来ないつもりなのかな?この前、私が怒っちゃったから……。」 

「だいぶ待ったわね。精神科に行ってみる?押すわ、車椅子。」 

「うん。ごめん、お母さん。お願い。」 

〜精神科〜 

「すみません、この写真に写ってるこのひと、知りませんか?」 

「あー、今、隔離室に入っておられる方かな?」 

「えっ?どうして?何かあったんですか?」 

「私、新人でよくわからないんですけど、他の患者さんにノートを破られて殴り暴れたそうで

……。」 

「あっ、そのノート、私のかもしれません。見せてくれませんか?」 

「はい!」 

ーー 

「これです。」 

「あー。やっぱりかー。」 

「主治医は、そのノートが心情を乱してよくない、と取り上げるつもりだそうです。中身も無

断で主治医は見ているので、そのやりとりで出られないのが長引くと勝手に思います。」 

「これ、持って帰らせてください!代わりにこのさらのノートを。お願いします!」 

「本当は先輩たちと相談した方がいいんですけど、なくなったことにしておきます。」 

「どうしてそうしてくれるんですか?」 

「破れたノートがある限り、あの子の心が悲しみに暮れるのと、あとは、あなたに持っていて

ほしいから。まだ、書けるページも、残っています。内緒ですよ。」

「ありがとうございます!」

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