星の魔法使い【レノア・ウィッチ】
桜部遥
願いと祈りと星の子
——人の世はいつだって、泰平の世にはなれない。
昔昔、ちょっとだけ昔のお話。
宙に瞬く星々はある願いを抱いていました。
『話し相手が欲しい。』
『僕達の新しい友達が欲しい。』
『僕達と同じ、でも少し違う、そう。僕達の子供みたいな友達が。』
人間は死んだ後。その清らかな魂は星となって夜空を彩ると言われています。
世界を見渡す星となって、人々の世を見守るのです。
星々は人の生活を見守りながら、段々と自我を持ち始めました。
最初は人の営みに興味深々でしたが、その興味も薄れていきます。
星々はいつも、ただ人の流れを見ているだけ。
そんな星達だけれど、やっぱり自我を持つ以上は願いがあります。
『誰かと遊びたい』
『誰かとお喋りしたい』
『誰か。誰か。僕たちの『願いを叶えてくれる子』はいないのかな。』
それは、昔昔よりもちょっとだけ後のお話。
地上には、沢山の魂達が行き場もなくさまよっていました。
人間は死んだ後、清らかな魂は星になるけれど。その他の魂は行き着く場所を知らずこの世界で大気の中に溶けていました。
そんな時、人間の色々な負の感情に充てられた魂は、地上で悪さをするようになります。
そんな可哀想な、哀れな魂達を思って、世界を作った神の一人は一粒の涙を流しました。
星々の願いに、神様の一粒の涙が合わさって、ある一人の少女は生まれたのです。
彼女は『星の子』。星々の先頭に立って、星々を導く『先導者』。
彼女は星々の願いと、神様の祈りを一身に浴びて生まれた星の子。
神様はそんな彼女に、『試練』を与えました。
——どうか、行き場を失った哀れな魂を救済して欲しい。
その試練を、少女は快く承諾します。
そして、地上へと旅立つ彼女に、神様はある助言を告げました。
少女はその助言に従い、世界を旅することになります。
そして、その果てに。少女は何を望むのでしょうか。
それを知るのはまだ少し先のお話。
それは、星と奇跡と出会いの物語。
後にそれは、一つの物語として世界に大きな影響を与えました。
その冒険譚の名前は『レノア・ウィッチ』。
これは、そんな冒険譚の始まりのお話。
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