第16話 復縁希望 ※デーヴィス視点
どうにかしてシャロットと元の関係に戻らないと、俺は生き残ることが出来ない。
シャロットに屋敷を追い出された後、自分の家に戻ってきた俺は大変な生活をすることになった。
婚約を破棄された件について、両親から何度も責められた。ローレインを解雇した後は、専属のメイドを用意してもらえず。仕事すら与えてもらえない。それなのに、小遣いを貰えないような状況。
名誉を挽回する機会すら与えてもらえないなんて。
父から何もするなと言われていた。だが、このまま何もしなければ本当に終わってしまう。行動せずにいたら、本当にただの役立たずでしかない。
この状態を変える唯一の方法は、シャロットとの関係を修復すること。彼女に許してもらい、また以前のような婚約関係に戻って仲良く過ごす。それしかない。
こうなってしまったのも全て、あの女が悪いんだ。解雇した翌日、すぐ姿を消した彼女。今はどこに居るのか、何をしているのか、俺にはわからない相手。
あの女が居なかったら、今もシャロットと一緒に居られたかもしれないのに。
俺も、ちゃんと反省している。あの女を愛していたなんて間違いだった。一番大事にしなければいけない相手を勘違いしていた。ちゃんと失敗を認めて、今度は間違えない。絶対に。だから、許してほしい。
父も悪かった。カナリニッジ侯爵家を乗っ取ろうと企てるなんて。俺にも詳しい話をしないで誘導し、ライトナム侯爵家の権力と財力を高めるためだけに、シャロットを利用しようと考えるなんて。俺には全く、そんなつもりなんてなかったのに。俺も利用されていただけ。
もっと、ちゃんと考えるべきだった。自分の立場について。今度は、シャロットの側に立つ。父よりも、ライトナム侯爵家よりも、シャロットのことを第一に考えると誓う。だから、信じてほしい。
「シャロット……」
彼女に向けた本気の手紙を必死で書いて、何通も送った。直接シャロットに会いに行くことは、両親から止められていた。だから今は、手紙を送るしかない。
反省を示すための文章を綴り、愛していることを文章で伝え続けた。前のような関係に戻りたいと、君の傍に居たいと書いた。だが、その返事は一度も来ない。
あの出来事の後、彼女からの連絡は一度も無い。
どうしてなんだ。俺は、こんなにも反省している。そろそろ許してくれたっていいじゃないか!
「ッ!」
叫びたい気持ちを、必死で抑える。返事がないのは、それだけシャロットが怒っているということなんだろう。
彼女が許してくれるまで、頑張るしかない。いつかきっと、この努力が報われる日が来るはず。それまで諦めず、シャロットへ手紙を送り続けるしかない。
それが、今の俺にできること。父親の監視を潜り抜けながら、毎日欠かさずに書き続ける。
そんな日々が、何か月も続いた。まだ返事はない。それでも俺は諦めずに、彼女へ送る手紙を書き続ける。シャロットが許してくれる、その日まで。
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