第23話 解散
険しい岩場が続くホルス山脈の中腹にタンタラス盗賊団はいた。
団員たちは岩の上で座禅を組むタタラに視線を注ぎ、司令を待っている。
「決めた」
タタラはそう言って立ち上がると仲間たちを見渡した。
真剣な眼差しでタタラは静かに口を開く。
「タンタラス盗賊団はここで解散する……」
その言葉でどよめきが広がった。
サンボがすぐに立ち上がりタタラに食って掛かる。
「お頭!! 何言ってんだ!? 俺達はあんたに付いてここまで来たんだぞ? 盗賊のあり方も捨てて、厳しい訓練に耐えてきた……!! それが解散だと!?」
「そうだ。新たな王国騎士団はどうも普通じゃねえ……そのことは、やられたお前が一番良く理解ってるんじゃないのか……?」
「くっ……」
サンボが言葉に詰まると、聞こえるのは空っ風の吹き抜ける物悲しい音だけになった。
「そこでだ、お前たちに最後の任務を言い渡す」
皆が顔を上げ、タタラの言葉の続きを待ち息を呑む。
タタラはもう一度ぐるりを団員達を見渡してから言った。
「お前たちは各々、村や町に出向いてそこで暮らせ。周囲に溶け込み、盗賊団であることを気づかれるな。ただし……」
「牙を研ぎ、情報を集め、時を待ち、新王権に疑問持つ仲間を秘密裏に集めること……!!」
再びどよめきが広がった。
しかし今度のどよめきは落胆や不安に満ちたものではなく、ある種の熱を宿したどよめきだった。
「お頭!!」
サンボが不敵な光を目に宿して拳を突き出した。
「お頭って呼ぶな!!」
そう言ってタタラが拳を返すと、頭の後ろで腕を組んだダリィがニヤニヤと笑いながら言う。
「じゃあ……盗賊王……っすね?」
「かもな……?」
タタラはそう言って笑うと、再び真剣な目をして仲間たちに言った。
「セントラルドグマは得体が知れない。だが、この世界で唯一と言っていいほど善良な二アレストに目を付け乗っ取った。俺の正義が警鐘を鳴らしてる。奴らはいずれ何かしでかす……!! それまで町人に成りすまして情報を集めろ。仲間を増やせ。牙を研ぐのを忘れるな……!! 奴らが正義を騙るなら、俺はなってやるさ……盗賊王に……!!」
「野郎ども!! 今度の仕事は今までと桁違いにでかいぞ!? いいか!? 気合を入れろ!! セントラルドグマから根こそぎに奪い取るぞ……!!」
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