How to Chess 3
4.ルールについて
チェスとは、先に相手の王のクロスを捕った方が勝ちとなるゲームでした。
そのために、プレイヤーの一部は、パーティを組んだり、単独で移動をして、相手の王のいる城に向かい、また残りのプレイヤーは、自分の王を守ったり、後方援護を行ったりします。
この時、プレイヤーたちは、自分の職業の決まりごとを守りながら、チェスのルールにも従わなくてはなりません。
チェスには、次の三つの大切なルールがあります。
1.クロスを賭けて戦う時は“試合”をします。
試合はお互いが了解した上で、始めに“宣誓”をします。
宣誓のないものは“攻撃”とみなし、クロスのやりとりはできません。
2.夜は移動も攻撃も試合もできません。(重傷をを負った時などを除く)
3.ゲーム開始日から五十日間で勝負が決まらなかった場合、そのゲームは引き分けとなります。
チェスでもっとも重要な“攻撃”と“試合”については、次章で詳しくご説明します。
5.チェスの攻防
チェスとは、一言でいうと『団体戦異種目間試合』です。
チェスでは、色々な能力を持った個性的なプレイヤーたちが、自分の能力を試したり、魅力ある技を持った者に、己のクロスを賭けて勝負を挑んだりします。
チェスでの戦いには、次の二種類があります。
一つは、クロスを賭けない“攻撃”と呼ばれるもの。
もう一つは、クロスを賭ける“試合”です。
攻撃や試合は、相手の国のプレイヤーの動きを阻止する時や、自分の腕を確かめたい時、その他にも、興味を持ったプレイヤーや、因縁のあるプレイヤーと勝負をしたい時など、様々な状況で行います。
プレイヤーは、ゲーム上、自国の王を守り、相手の王のクロスを捕るという目的があります。そのため、紅白それぞれの国は、独自の戦略を立てて勝負をします。
プレイヤーはゲーム中、自分の行動を自由に選べます。
極論すると、自分の国が勝つために、その行動を制限しなくてはならないわけではありません。
その中でプレイヤーは“攻撃”と“試合”の二種類の戦いの仕方を選びます。
ゲーム中の戦略は、プレイヤーにとっては、道標のようなものだと言えます。
戦略上クロスを賭ける必要のない場合は“攻撃”をします。
攻撃をかけられたプレイヤーは、そのまま相手と戦ってもいいし、逃げても構いません。
互角な相手同士が、たがいに足止めをしている、というのも可能です。
これとは別に、クロスを賭ける方がよいと判断した時は“試合”をします。
相手の国のプレイヤーを減らそうとする場合がそうです。
試合は、後世までその勝負の記録が残るため、プレイヤーとなった者は、後の世まで語り継がれるチェスの試合に一度は参加したいと考えます。
試合では、体力・魔力などの戦闘力が尽きたり、お互いが取り決めたルールで敗れたりすれば負けとなります。
勝つことができたら相手のクロスをもらい、負けたら自分のクロスを渡します。
クロスのなくなったプレイヤーは、ゲームが終了し、その後のゲームには参加できなくなります。
勝者は、捕ったクロスを、試合終了後、近くの教会に渡します。
この時、クロスを受け取った教会は、チェスに参加しているビショップの影響を受けることなく、ゲームが終わるまで中立的にクロスを預かります。
プレイヤーは、それぞれが独自の能力を持っています。
よって、試合は魔法対魔法、武術対武術というふうに、同種目間で戦えるとは限りません。
そういうわけなので、必ずどういうやりかたで決着をつけるかを取り決めなければなりません。
また、おたがい了解していれば、何人対何人で試合を行っても結構です。
試合を始める前には、お互い同士が必ず“どういう方法で勝負をするか”、“何人対何人で勝負するか”を了承していなければならないのです。
試合の取り決め方には決まったルールはありませんが、たいてい、一方が相手も戦える方法を提案し、もう一方は人数を選択します。
話が決まれば、お互いが納得したことを誓う“宣誓”をします。
もし一方が承諾できなかったら、試合は行われません。
戦いの時には、以下のことに注意しなければなりません。
1.宣誓をして試合を開始した後の加勢は認められません。
逆に、試合の最中に、試合に参加していない他のプレイヤーに攻撃をかけてもいけません。
2.相手に重傷またはそれ以上を負わせてはいけません。
3.捕ったクロスを使うことはできません。
攻撃や試合は、六十四都市内のどこででも行うことができます。紅白のプレイヤーたち以外は誰もいない森の中ということも往々にしてあります。
しかし試合の場合、どこで行われていても、西大陸中の主要な王城にはその模様が伝わって、それから西大陸の小さな町や村などに波紋のように結果が知らされていきます。
それは“魔法本”という特殊な本のためです。
6.魔法本
西大陸の主な王都には、魔法本と呼ばれる、チェスの歴代の試合が記録された本があります。
魔法本は、ゲームの中でクロスを賭けた勝負、すなわち“試合”が行われた時、新しい空白のページに、誰かが書くわけでもなく自動的に、その試合の様子を逐一記録していきます。
その記述を王都の僧侶たちが、各都市の教会へ伝書鳩に託して知らせることによって、西大陸中に試合の模様が伝わっていきます。
もう一つ、魔法本は毎日暁鐘と晩鐘の時に、紅白のプレイヤーの居場所を記します。
この不思議な魔法本を製作しているのは、“鏡の国の者”と呼ばれる特殊な技能を持つ人々です。
彼らは、西大陸の人たちではありません。空間と空間の間には狭間があって、そこは霧深い森が続く所と言われています。その森の中には湖が散在し、鏡の国の者はその湖の底に国を持ちます。
その湖は、淡い光できらめく湖面を水中から見上げると、世界で起こっている様々な出来事が、幾つもの小さく仕切られた波の泡の間に、代わる代わる映るといわれています。
そして、その銀の湖面は、白い泡に手を差し入れると、ひび割れた鏡の破片をはがすように、かけらを手に取ることができます。
水のかけらは、湖面から離れると、固くなってずっと同じ世界を映し続けます。
しかし、湖の外に出てしまうと、ただの水になってしまいます。
鏡の国の者は、自分の作りたい本の世界が湖面に映った時、そのかけらを採って、湖の底の製本所へ持っていき、それを版の材料として本を製作します。
魔法本を正確に言うと、一国の興亡記から個人の伝記まで、色々な種類の記録を知ることができる本のことです。
チェスの魔法本は、西大陸が映った湖の小さなかけらを元に、クロスを持ったチェスのプレイヤーたちの居場所と試合の情報だけを記されるように作られた本だといえます。
鏡の国の者は、魔法本を作る技術を持つ、唯一の一族です。
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