第十九幕『ささやかな嘘の話-boo-boo-』
ある
二人の前には
茶髪の女生徒は巨大なカツパンにかぶりつきながら、痩躯な男子生徒はデニッシュに
話の内容は授業の内容、最近話題の番組、ゼミの担当の先生……そんな他愛の無い事だった。
そんなとき、痩躯な男子生徒の
「失礼。はい、もしもし?」
喫茶店、それも雑談中だが痩躯な男子生徒はその場で電話に出た。
『私、メリーさん。今最寄りの駅に居るの』
痩躯な男子生徒の友人に、メリーと言う名前の人物は居ない。彼は異変を覚え、電話の相手に尋ねた。
「最寄り駅?
『え?
まさかこちらの
「そりゃ
『わ、わかった! 今そっちに行くね』
その声を最後に、電話は切れた。痩躯な男子生徒は右手のガッツポーズを維持したまま、小刻みに揺れて失笑を
「誰? 何かあったの? と言うか、それってどこ?」
怪訝な物を見る目半分面白い物を見る目半分で
「んー……多分ストーカーの一種だな、前から付きまとわれているんだ。さっき言った場所だけど、お
「うわ、こわ。それで、そのストーカーさん? ヤクザの事務所に乗り込むかな?
茶髪の女学生は応答そのものこそはテキトーな声色だったが、その一方で痩躯な男子生徒の身を本気で心配している様な様子を見せた。それに対し、彼はつまらなさそうな反応を見せた。
「まあなんだ、うち寺だろ? こう、
「なるほどねー。うん、口外しない」
茶髪の女学生はそう言うと、大きな口でカツパンを平らげた。それを見て、痩躯な男子生徒はデニッシュに乗せた苺のアイスクリームをメイプルシロップでこねたり、スプーンで突いては口に運ぶ。
「ところで、そのストーカーの人、ヤクザの事務所に不用意を不用意に訪ねてどうなっちゃうんだろう? 話に聞く様に売り物にされちゃうとか?」
その言葉を聞き、痩躯な男子生徒の
(いやいやいや、幽霊を売り物に出来るならば、
「どうかしたの?」
「え? いや、何でもないよ」
痩躯な男子生徒はそう言って否定はしたものの、彼の脳裏には
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