第40話 次男レオニダ視点3

「やっと三男が城を出ていったわね」


「はい、お母様」


「でも、安心しちゃダメよ。あの子、あれ以来とても大人しくなったけど、何かおかしいのね」


「ずっと、外で活動していたとの噂がありましたが、手がかりがありませんでした」


「それも一つね。何か隠している感じがするの」


「僕もおかしい感じがします。探りをいれているんですが。表面的には何も出ないんです」


「でも、それらしい人物が市場で目撃されたりするのよ」


「そうなんですよ。でも、城から出た形跡がありません。穴でも掘ってるんじゃないかと」


「まさかと思うけど、魔法が使えるってことないわよね」


「魔法が使えても、城から出られるような魔法はありえません。姿を消したとしても門のところでばれます。結界魔法にひっかかるはずです。伝説的な飛行魔法か転移魔法、或いは変身魔法が使えるというなら別ですが、あまりにもおとぎ話すぎます」


 お母様と僕は度々会議を開いて、

 三男を廃す計画を立てた。

 しかし、なかなかうまく行かない。

 接点がほとんどないからだ。


 奴の部屋には密かに近づけないし。

 ランベルトが優秀で100%彼に退治される。


 食事も彼等が独自にとっている。

 食材は彼等が調達しているようだが、

 仕入ルートが不明だ。

 そもそも城で調理しているのかも不明だ。

 気配のないことがたまにある。


 以前は城の図書室にいたこともあるらしいが、

 それもなくなった。


「長男や4男への計画は進んでいます。長男は上手く体調がおかしくなりました。長くないでしょう。四男は能力的に問題があります。残るは三男だけです」


「どうしますか?」


「三男を物理的に排除するよう、ならず者を奴の領地へのルートに配置しました」



 王位継承権でオレは2番めだ。

 長男はベッドに伏すことが多くなった。

 もう治らないだろう。


 四男は本当に鼻垂れのままだ。


 怖いのはあいつだ。

 幼い頃から、神童の誉の高い。

 二歳で二ヶ国語を話し、4歳で国際政治を語る。

 とんでもない天才と噂された。


 眠り毒事件以来、奴は大人しくなった。

 才能をひけらかさなくなった。

 そして、奴には魔法が発現しなかった。

 王族としては致命的だ。

 浮上する芽は潰えたと見ていい。


 しかし、気になる。


 奴はビビってる?そんな雰囲気はない。

 年に1回ぐらい顔を合わすことがある。

 大人しくしているが、目が死んでいない。

 目が敵対的とさえいえる。


 オレは騙されない。

 絶対、猫をかぶってる。

 だから、オレは手を変え品を変えて

 奴に攻撃をしかけていった。


 全て上手く行かなかったが。

 偶然じゃない。

 やつが俺の攻撃をブロックしている。



 それと、あの聖女様との仲が噂されてる。

 非常に腹立たしい。


 彼女はオレの2つ下。

 年齢的にもばっちりだ。

 あの美形は必ず手に入れる。


 そう決めて、プレゼントとかしてきた。

 気張って香水もかけまくっている。


 来年になったら、彼女に結婚を申し込む予定だ。

 他人、しかもロレンツォとの噂は絶対に許せない。



 多少に不安はあるが、現時点では満点だ。

 前から父である王に吹き込んでいたように、

 やつを僻地に追放することができた。


 魔法が発現しないのだから、当然なんだが。

 領地は狙い通りザップだ。

 王国でもダントツ一番の僻地。

 存在すら忘れ去られている僻地。

 あそこなら一生浮かび上がれまい。


 ざまーみろ。


 それに、オレは手をうってある。

 途中にならず者を配したのだ。

 ちゃんと上手くやってくれるだろうな。


 これでオレは長男を廃して王になる。

 そして近隣国を手球にとって、

 この国史上一番の王様になるのだ。



 えっ、何?聖女様がいなくなった?

 捜さんか、馬鹿者!


 しかも、セリアもいなくなってる?

 城では大騒ぎだ。


 時期的にロレンツォの関与が考えられるが。

 まさか。


 悪いことに、次の日にはオレの部下が

 城の塔にぶら下げられた!

 奴は俺の悪事担当、

 ロレンツォ襲撃を計画していたのだ。


 まさか、ロレンツォがやったのか?

 いや、奴は領地へ行く途中だ。


 何? 

 ロレンツォに襲撃隊が瞬殺されただと?

 どうやって?

 アルベルトが活躍したのか?

 襲撃隊は30名はいたはずだ。


 大反省だ。

 これでも甘かったのか。

 しっかり、ヤツをはめなくては。


 次やるときは、軍隊を引き連れてくぞ。



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