第34話 勝つか負けるか!! 賞金百万円の行方は!?
――
永倉はアンデットデッキを使ってきた。なかなか面倒くさい魔法カードや罠カードが多くて厄介だ。
だが、俺はドラゴンを巧みに操り、攻撃を加えていく。
「アドバンス召喚。ブルーア●ズホワイトドラゴン……!」
「チッ。やっぱり入っていやがったか、両!」
「当然だ。ドラゴンといえばブルーア●ズだろ」
俺は、永倉のモンスターを『心変わり』で奪い、自分のモンスターを捧げてブルーア●ズを召喚した。
ガキの頃手に入れたアルティメットレア(レリーフ)!
さすがにボロくてプレイ用と化していた。
だが、こんな劣化しようともブルーア●ズはふつくしい。
「まだだ、まだ終わらんよ!!」
焦りを見せつつも、永倉は罠カードを発動。あれは……『リビ●グデッドの呼び声』か。
自分の墓地からモンスターを攻撃表示で特殊召喚できる罠版の死者蘇生。アンデットデッキだけあって入れてあったか。
特殊召喚したモンスターは……。
ワイトキング!
「――って、まてやァ! 永倉! エキスパートルール時代にワイトキングはねぇだろ!?」
「うるせぇ! アンデット族のモンスターなんて少ねぇんだよ。これくらい使わせろ!」
効果はたして強くないが、打点を一気に上げることのできるカードだ。確か墓地にワイトがいれば一枚につき×1000で攻撃力がアップするんだ。
マズイ!
ブルーア●ズの攻撃力を超えられてしまう!
しかし、永倉の墓地にワイトは……三枚。つまり同等の攻撃力か。
「相打ちになるぞ、永倉」
「構わん! 砕け散れ、ブルーア●ズ!!」
攻撃を宣言した永倉。
本来なら相打ちでお互いのモンスターカードは墓地に送らねばならない。
……だが。
「トラップカード発動。聖なるバ●アミラーフォース」
「え……」
永倉は絶望していた。
聖なるバ●アミラーフォースは、相手の攻撃宣言時に発動できる罠カード。相手のフィール上のモンスターを全て破壊する。
強引に使ったワイトキングを失い、俺のターン。
ダイレクトアタックを決め、永倉のライフポイントはゼロになった。
【永倉 LP:0】
これで俺の大勝利。
「ハッハッハ! 永倉、油断したな。速攻魔法や罠カードに注意しないとな」
「……くそッ、マジかよ!」
珍しく悔しがる永倉。
こういう表情が見られるなんて珍しいこともあるものだ。
「残念でしたね、オーナー」
「……亞里栖ちゃん。うん、悔しい。このまま両に物理的なダイレクトアタックしてもいいかな?」
――って、うぉい!
それブン殴るって意味だよな!?
リアルファイトじゃねーか!
「それはダメです。仲良くしましょ」
「そうだよね、亞里栖ちゃん。ていうか、今日もメイド姿が可愛すぎる!」
「ありがとうございます!」
嬉しそうに微笑む亞里栖。すっかり板に着いたというか、慣れたな。仕事もだいぶ捗っているようで接客もこなしていた。
労働の楽しさを知って、立ちんぼのことなんて過去の闇に消えたらしい。
「さて、永倉。約束通り賞金百万円を貰うぞ」
「……ちぇ、覚えていたか」
「あったりめーだ。きっちり耳揃えて払ってもらうぞ」
「分かった分かった。あとで振り込んでおく。口座番号を送っておいてくれ」
「了解」
よっしゃ!
まさか臨時収入の百万円をゲットできるとはな。
永倉は最近、かなり儲かっているみたいだから、これくらいは簡単に払えるようだ。逆に俺はまだまだ。新しい事業をやりたいから資金も必要。とにかく金が必要だった。
お母さんから譲ってもらったコインパーキングだけではなく、自立して自分で企業していこうと考えたのだ。
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