第3話 ラブホのお風呂で
まずはシャワーを浴びることに。
俺が先に入り、中で待つという手順になった。どうやら、亞里栖は心の準備が必要らしい。俺もだけどね。
服を脱ぎ、全裸になり――いや、せめて腰にタオルだけ巻いて浴室へ。
ラブホの風呂は思った以上に広くてビビった。な、なんだこりゃ……!
なんでこんな円形の広々とした浴槽なんだ……!?
まるでプールのようなサイズ感。
薄暗い空間の中に、バスタブだけは青白い
なんだろう、この夜景みたいな特別な雰囲気。実に大人っぽい……。
亞里栖の気配がないため、俺は先にシャワーを浴びることにした。
「……ふぅ」
緊張のせいか、落ち着かない。
ここまで来ておいて俺は、引き返そうかとチキンな発想が浮かんだ。
やっぱり止めておこうか。
ほんのわずかながら撤退を考えたが――遅かった。
亞里栖が風呂に入ってきたんだ。
「お…………お待たせぇ……」
声が震えまくってる……!
や、やべぇ、振り向けない。
きっと全裸だよな。そうだよな。
「お、おう。マッテイタヨ」
「あは……あはは。両ちゃんガチガチじゃん」
「う、うるさい。仕方ないだろ……! てか、そっち見ても……いいのか?」
「そ、それはもちろん……」
だよな。だって俺はお金を払っているし、亞里栖も同意済み。
なんの問題もない。
思い切って俺は振り向いてみた。
すると。
「……っ!」
「ご、ごめん。水着で……」
「水着かよっ!」
まさかの黒ビキニ姿だった。なるほど、さすがの亞里栖も恥ずかしかったわけだ。
でも、これはこれでエロいというか……むしろ興奮してしまう。
驚いたことに、グラビアアイドル顔負けのエロボディじゃないか。なんだその凶悪なバスト。そんなに巨乳だとは聞いていないぞ……!
太すぎず、細すぎずちょうど良い体型で、曲線美。女神のように美しい。
いかん、下半身のサイクロンマグナムがマグナムトルネードしそうだ。暴走モード突入だッ……!
「いいじゃん……脱がせば」
「凄いサービスだな、亞里栖」
「そういうつもりじゃないけど、逆に興奮させちゃったみたいね」
俺の下半身を凝視する亞里栖。腰のタオルが
「……ぐっ。恥ずかしいな……」
「両ちゃんの股間にゴッドハンドクラッシャーしていいかな」
「おいヤメロ! 潰れるだろうが! てか、なんで知ってるぅ!?」
「そんなことより、シャワー浴びよ」
質問は無視ですか、そうですか……。
俺の隣にやってくる亞里栖は、機嫌よくシャワーを浴びはじめた。こうして間近にすると更にドキドキするな。
一応、現役の女子高生……なんだよな。
「……どこを見ていればいいんだ、俺は」
「ふ、普通に見ればいいんじゃないの。ど、どうせ……ヤるんだから」
「それもそうだけど、初めてはやっぱり緊張するというか、チキンになっちまう」
「う、うん。そうだね……。わたしも同じ。正直、不安でいっぱいだった」
そこで俺は返す言葉が見つからず、自然と沈黙が続いた。
……だ、だめだ。なにを言っていいか分からない。どうすればいいのか、迷いすら生じていた。
このままでは一生童貞で終わってしまうだろうな。そんな“予感”がしていた。
逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ……!
これまで逃げ続けていた人生。
亞里栖と向き合うことなく、ここまで至った。
なぜか今はほぼ裸で向き合っているけど。
そうだ。俺は別に亞里栖が憎いわけではなかった。嫌悪していたわけでもない。ただ、亞里栖に異変があって……気づいたら、話すことなく生活が続いていた。
少なくとも。
出会った頃は、好きという感情があった。
ああ――そうだ。
思い返してみれば、義理の妹として迎えたあの時に俺は初恋をしたんだ。
「……亞里栖」
まずは手に触れてみた。
すると亞里栖は拒否することもなく、受け入れてくれた。
「ね、ねえ……両ちゃん。今からしちゃうんだよね……」
「ま、まあな」
「一応言っておくけど、これは恋愛感情とか抜きに考えてね。べ、別に……両ちゃんのこと好きとか思ってないし、お客さんだからね……。勘違いしないでね……」
そうは言うものの、亞里栖の言葉に覇気はなかった。
自信が無さすぎて忠告には聞こえない。
「うるさい、おっぱい触らせろ」
「うわ……」
「引くなよ!? そういうことするんだから」
「ごめん」
なんで妙に素直なんだよ。調子狂うな。
けどいいや、少しずつ前へ進んでいこう。まずは触れ合っていく。それでいいじゃないか(某勇者風口調)。
そうそう、焦ってはいけない。
理性を失ったケダモノのように亞里栖を襲うわけはいかない。
エロ知識は俺の方があるんだ。
千本以上見た
大切なのは“前戯”だ。
そこからスタートだよな。冷静になって思い出したよ。
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