希望のマリス
希塔司
chapter0:takeoff
とある会議室にて。
「ようこそ、VIPの皆様。これより我々、【コマンドメント】が世界中に夢と希望をあたえるためのプレゼンテーションを時系列にしてお送り致します。」
モニターに移るAI秘書がVIPに向けて言う。
これよりデータベースに接続...
認証コード
521074 1082 108
認証完了...
「権限No.3189、お帰りなさい。これより時系列データを表示します。我々のより良い繁栄のために...」
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AD2080年、地球はかつてない深刻な状況に陥っていた。度重なる戦争、資源の枯渇、環境汚染や自然災害の多発により地球は疲弊し、人々はシェルター内での生活を余儀なくされていた。
あらゆる植物が枯れ、あらゆる動物が食糧を無くし次々と死滅、絶滅をし数を減らしていった。それだけではなく、人類による環境汚染によって生態系が突然変異をし、逃げ遅れた人類を次々と食糧として捕食していった。
その状況を政府は黙認、自分たちだけが生き延びる手段を考えていた。人類は数を減らしていきながらもかろうじて生存をしていた。だがシェルター内においても食糧や金銭といったもので新たな争いを生み、人類同士の醜い姿を露見させている。
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この世界で1.2位を争う世界有数の大企業
【コマンドメント】主に軍事産業で巨額の富を稼いだこの企業はさらにネットワークサービスやAI技術により、世界になくてはならない企業へと発展していった。
そんなこの企業はこの現状を打破をしていこうとあるプロジェクトを発案。
『プロジェクト名: Garden of Salvation』
人類に再び安寧の地を開拓し、より多くを救済をしていくプロジェクトだ。宇宙産業のトップ企業「Door of Emptiness」と業務提携。
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「続いて我々の輝かしい功績と実験の数々をご覧いただきます。」
そうAI秘書が言うとさまざまな過去のデータが表示されていく。
・打ち上げ記録一覧
AD2083年
・初めてのロケット、[futility]を開発。打ち上げテストにてロケットのエンジンが逆噴射、そのまま墜落。数名が爆発に巻き込まれる。
AD2087年
・第二陣のロケット。[The seven]を発射。
こちらは訓練を施した死刑囚を使用。13名を乗せた船は大気圏を突破。
AD2088年
・13名のロケットを乗せた[The seven]内にてトラブルが発生。それにより7名が死亡。その後船は地球に帰還。
だが1名が未知の宇宙生物に体を寄生され、残りの死刑囚含め職員78名が犠牲となった。
AD2093年
・新たに開発したロケット[Endless Dreams]
3年に及ぶ新たな宇宙実験により成果を上げる。初めての航行および調査が成功した。
その際に太陽系外の銀河系へのワープルートが詰まった情報サイクルのデバイスを入手する。また、宇宙に未確認生物、未確認物質を発見。
AD2098年
・例のデバイスの解析に成功する。
これにより、ついに人類が数十年開拓をしていけば地球とほとんど同条件で住める星があることを確認する。
AD2099年
・作り手と呼ばれる人材を発掘。彼らに訓練を施し、星の開拓に向けての準備を行なっていく。
AD2102年
・20年以上の研究や実験結果により培われた技術を施し、開拓船「ユメノトビラ」を開発。この船にナビゲートAI【OWLDO】を搭載。開拓のサポートをさせていく。
AD2105年
・訓練終了。及び開拓船「ユメノトビラ」発射。
「いかがでしょうか?
我々【コマンドメント】はついに先日開拓の目標に向かい一歩を踏み出しました!この開拓では、人類が新たに住める星を、そして未知の生物の捕獲と研究が最重要の目的です。
ぜひ、我々のこの事業を応援しませんか?あなも新たな新世界をともに掴みましょう。」
以上データベース終了.....
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それらの映像は会議室にて表示された。
「なるほど、つまり彼らは必然的にあれに出会うということですね?」
「ああ、そうだ。このプロジェクトには欠かせないことだからな。そちらの方は上手くいくのか教えていただきたいところだが?」
「ええ、そちらも全て計画通りとなっております。きっと我々には多大な利益をもたらすでしょう。この計画が達成された暁には、よろしいですね?」
「全く強欲なお人だ。だが、だからこそ信頼できる人だ。さてと...
君たちはどれだけ功績を残してくれるかな?」
会議室に集まった役員たちは静かに立ち上がり一礼をする。
ーーーーーー
同時刻、開拓船「ユメノトビラ」船内にて
「ふう、やっとできた。これでちゃんと動くかな...。
あれ、おかしいな?確かに配線や最終調整プログラムは問題ないはずなんだけどな...」
ここに今、小さな命が生まれようとしている。これから待ち受ける運命すら知らずに.....。
『作り上げたものがうまく機能しなくても、
それを無駄な物だと決めつけてはいけない。
それは次の一手になる』
by トーマス・エジソン
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