第46話 まだ秘密のまま
「そういえば、大会はどうなっていますか?」
買い物からの帰り道、マオの右肩に座って休んでいたフランが会話の途中に問いかける。両手いっぱいに買い物袋を持って歩くマオがその問いかけにうーんと少し首をかしげた
「一応、大会は各自で行くようにって言っていたから、待ち合わせて一緒に行く?」
「そうしましよう。ご主人様は飛行魔術や道を覚えるのはあまり得意ではないですので」
フランが家の玄関の扉を開けながらそう言うと、マオが少し驚いた顔をした
「そうなんだ。飛行は何となく知っていたけれど、道も……」
先に家の中に入るマオのその後ろで今度はフランが驚いた顔で家の中を見た
「マオさん!逃げて!」
「へっ?」
フランの声を聞いてマオも家の中を見る。すると、こちらに向かって数冊の本が飛んできた。本を避けるため慌てて屈んだマオ。フランも本を避けるために扉に隠れる。扉や壁に当たった本がバサバサと二人の周りに落ちた
「大丈夫ですか?」
「う、うん。なんとか……」
周りにある本を見ながらフランに返事をしていると、二人の騒ぎを聞いたログがやって来た
「ご主人様、危ないじゃないですか」
「ごめん。そんなに飛ぶとは思わなかった」
少し怒った顔でフランが注意をすると、マオの周りに落ちていた本達がふわりと浮かんでログの側まで飛んでいく。一番近くに来た本を取りパラパラとページをめくるログを見ながら立ち上がると、床に置いていた買い物袋が本と一緒にログの側まで飛んで行った
「ねぇ、何の魔術を使っていたの?」
「……今は言えない」
マオの問いかけに素っ気なく答えるログの横を通りぎた買い物袋がキッチンの方へと向かい、ガチャガチャと騒がしい音が聞こえてきた
「ご主人様、紅茶とお菓子をいれますが、今少し休憩しますか?」
「いや、後で部屋まで運んでくれると助かる」
「分かりました。では後ほど」
ログの素っ気ない返事を聞いてフランがペコリと頭を下げ返事をすると、ログは自室へ向かうため階段を上りはじめた。その後ろ姿を見ていると、マオの肩に乗っていたフランがキッチンの方へと向かい、テーブルに置いたままだったティーポットやティーカップを見て、うんと頷くと遅れてキッチンに来たマオにニコリと微笑んだ
「さてと、マオさん私達は先に暖かい紅茶とお菓子を頂きましょう」
ウィッチクラフトあんどログ シャオえる @xiaol
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