第40話 とても似ているもの

「そういえばフラン」

 階段を上る足を止め、フランを呼んだログ。名前を呼ばれたフランが階段にいるログを見る。マオも買い物袋から目線を変えてログを見た

「時間がなかったから、頼まれたデザートは買ってきてない」

「えっ……」

 マオが持つ買い物袋を見ながらログがそう言うと、ショックを受けたフランが落ち込んだ様子でマオの右肩に移動し座った

「大丈夫?私が買ってこようか?」

「いえ、大丈夫です。確か材料がまだあったと思いますので、それをどうにかします」

「そんなにおやつ食べたいの?」

「ええ、私の魔力の回復にとても必要です」

 二人がまた玄関先で話はじめ、ログがまた階段を上りだした


「あれ?ログは?」

 しばらく経ってやっとログがいなくなった事に気づいたマオが階段付近を見渡すと、フランも座っていたマオの右肩から離れ、階段付近を見渡した

「お部屋に行ったみたいですね。私達もキッチンに行きましょうか」

 買い物袋の取っ手をつかんでキッチンのある方に引っ張る。フランを先頭にキッチンへと向かっていった





「消えたか」

 その頃、二階にある書斎に入ったログが部屋にある本が一冊もない本棚を見て、深いため息をついた

「家が燃えたくらいで失なう魔術なら仕方ないか。早く他の魔術を見つけないと」

 本棚に手を添え一人呟くと、窓際にある机の方からカタンと音が聞こえてきた。音のする方に振り向くと、返したはずの白い小鳥が窓際で大きく翼を広げていた





「フラン、この野菜も切っても良いの?」

「ええ、お願いします」

 ログが部屋に戻って数分後、トントンと野菜を切る音とマオとフランの会話ががキッチンに響く。三人分よりも多い量のスープが入った鍋をフランがグルグルとかき混ぜる。マオが切った野菜をスープの中に入れると、マオがふぅ。とため息をついた

「わざわざ作って面倒だね。魔術でさっさと作れば良いのに」

「確かに魔術でさっさと終われば楽ですが、これは魔術の為にもなりますよ」

「そう?」

 調味料を取るため鍋から離れたフランの代わりにマオがグルグルとスープをかき混ぜる。手際よく持ってきた調味料を入れるフランの様子を見ていると、フランが少し困ったようにフフッと笑った

「ええ、こうやって色々と材料を入れるあたり私は魔術と似ている気がしますよ、呪文を確認し魔術を行うあたりも似ていると思いませんか?」

「……いや、私は」

 と、フランの話に首をかしげ返事に困っていていると、スープの良い匂いが漂ってきた。すぅ。と一つスープの匂いを嗅いだフランが一度うんと頷いてキッチンの入り口の方へとふわりと浮かんで向かっていった

「そろそろ完成しそうですね。ご主人様を呼んできますので焦がさないように見ていてくださいね」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ウィッチクラフトあんどログ シャオえる @xiaol

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ