第30話 伝える代わりに
「この魔術は、これとこの魔術を使うと……」
「うんうん、なるほど……」
ログとミオが話をしている公園近くのカフェで、マオがフランに休んでいた今日の授業内容を教えてもらっていた
「ですが、レイカ先生の説明も正しいのですが、教科書通りすぎて、私はあまりおすすめしないですが……」
「なるほど。じゃあこの魔術は?」
「それはですね……」
テーブルに広げたノートや教科書にフランから教わった内容を書き込んでいく。夢中で話し合う二人の元に可愛く包装されたクッキーを持って店員がやって来た
「おまたせしました。持ち帰り用のクッキーです」
「ありがとうございます」
クッキーを受け取ったマオがお礼を言うと、店員がペコリとお辞儀をして戻っていった。フランがクッキーを見ていると、マオがそのクッキーをフランの前に差し出した
「これ、ログに渡してね」
「ご主人様にですか?」
「うん、風邪治してくれたお礼にね。甘いのは嫌だって言ってたけど、クッキーなら食べれるかなってさ」
そう言いながら教科書やノートを鞄に入れ、片付けはじめる。マオの話を聞きながらクッキーを見ていたフランが、なにか思いついた顔でクッキーを持ったままマオの右肩に乗った
「それじゃあ、マオさん是非……」
耳元でヒソヒソと話をするフラン。その内容を聞いたマオが驚いた顔でフランを見た
「えっ、本当にここ?」
「ええ、本当にここですよ」
フランに案内されて着いた家の前でマオが驚き呆然と立っている。マオの家よりも大きな二階建ての家と、目の前に大きな門や大きな木が家の前に数本立っており家の周りを見入っていると、フランが門を開け中に入っていく。マオも慌てて門の中に入ると、大きな扉がすぐ目の前に来て、フランが大きな扉を開けた
「ただいまです。ご主人様、帰ってきましたよ。マオさん、どうぞ中に」
フランが扉を開けてすぐ矢継ぎ早に言いながら家の中に入るなり、家の奥へと向かっていった。一人玄関先に残されたマオが恐る恐る家の中に入ると、玄関の目の前にあるキッチンらしき部屋にある椅子にログが座って本を読んでいた。マオがいるのに気づいたログがはぁ。と一つため息をつくと、テーブルに置いていたコップを取り一口飲んだ
「持ってきたクッキーはフランに渡して。それか二人で分けて食べた方がいい」
「えっ、私、なにも……」
「ご主人様、魔術で勝手に会話を見聞きしたらマオさんに嫌われますよ」
大量の本を周辺に浮かべながら戻ってきたフランが、ログの背後にある大きな本棚に本を置いた
「フランの様子を見ていただけだ。二人の話は聞いてない」
そう言うと側にあるテーブルにコップを置いた。二人の様子をマオが戸惑いながら見ていると、持ってきた本を本棚に終えたフランがマオの右そでの服をつかんでグイッと引っ張った
「マオさん、リビングに案内しますので、休んでいてください。私は紅茶を淹れてきますので、ちょっと待っていてくださいね」
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