第27話 もう少し強くなるために

「マオさん、来ないですね」

 翌日の朝のグレニア学園の教室で、ログの机の上でモグモグと朝御飯を食べるフランが寂しそうに呟く。ログがフランの食べる朝ご飯をつまみ食いをした

「早くしないと、もうすぐチャイムが……」

 追加のご飯をログの鞄から取り出しながらフランがそう言った時、閉じていた教室の扉がガラッと開き、担任のレイカが教室内に入ってきた

「みなさん、さっさと席についてね」

 レイカの言葉を皮切りに騒がしかった教室がほんの少し静かになり、生徒達が各自の席に座りだした

「おや、マオさんは今日はお休みですか?元気なマオさんがいないと、なんだか寂しいですね」

 一つだけ空席のマオの席を見て、レイカが残念そうに言うと、フランもご飯を食べていた手を止めマオの席を見た

「マオさん、大丈夫でしょうか?」

「さあ大丈夫じゃないか」

 フランの言葉に適当に返事をしながらフランが手に持っていたおかずを取り食べた。最後の一つを取られたフランが悲しげにご飯を食べるログを見つめた





「熱、下がらないわね」

「うん……」

「昨日、練習で魔力を使いすぎたって言って帰ってきたと思ったら……。熱出すほど練習したの?」

「うん、そう」

 その頃、ミオの家では自室のベットで休むミオがはぁ。と一つ深呼吸をしつつ、母親と会話していた。辛そうな表情のミオを見て母親がミオのおでこに手を当て熱を測り、困った様子でミオにホットミルクを渡した

「今日は練習は無しにして、ゆっくり休みなさい」

 そう言いながらあっという間に飲み干したミオのコップを受け取り、よいしょと言いながら立ち上がった

「そういえば、ミオは?」

「もう出掛けたわよ」

 と、マオに素っ気なく返事をすると部屋から出た。パタパタと階段を降りる足音が聞こえなくなると、今度は、ため息をついてベットに寝転んだ

「私の魔術、全部綺麗に避けられたなぁ……」

 ぎゅっと強く目を閉じ、昨日のログとの魔術の練習を思いだす。マオの魔術から木に隠れたり走ったりとしているだけのログを思いだし、落ち込みから段々と苛立ちが勝ってきて、ガバッと体を勢いよく起こすと、パジャマからグレニア学園の制服に着替えて、部屋の窓をバンッと勢いよく開けた

「やっぱ休んでらんない。もっと強くなるために練習しなきゃ……!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る