第23話 心も体も元気になったら

「ログ、どうしたの?ずっと外を見ているけど」

 もうすぐお昼の休み時間になる頃、授業中も窓の方を見てボーッとしていたログにマオが声をかけた。その声を聞いたログがちらりとマオを見て、はぁ。と一つため息をつくとまた窓を見て空を見上げた

「……やっと諦めてくれたらしい」

「諦めたって、なにが?」

 マオもログが見ている窓の方に目線を向ける。青空の中、遠くでバサバサと飛んで行く鳥の影が見えて、鳥の行方をじっと見ていると、突然左肩がグンッと重くなった


「みなさん、おはようございます」

 目を覚ましたフランが、マオの左肩に座り右目を擦りアクビをしながら、ログやマオに声をかけた

「おはようフラン。たくさん休めた?」

「はい、魔力も体力も大分戻りました」

 マオがフランの頭を撫でながら問いかけると、フランが嬉しそうに微笑み返事をする。そんな二人の側でログがガタンと椅子の音をたて、立ち上がった

「あれ?今日の授業はないのですか?」

「午後はこれからだけど、午前の授業は終わったよ。相変わらずログはほとんどサボったけどね」

「またですか?怒られますよ」

「魔術の授業だったからな。仕方ない」

 ログが面倒そうにそう言いながら、鞄を取り出すとフランがログの右肩に乗り頬をちょっと引っ張った

「ログとかフランが凄い魔術でも使ってくれたら、この学園に、また注目されるのに」

 帰ろうとするログを見て、マオがはぁ。とため息混じりにそう言うと、ログとフランがマオに目線を向けた

「そうしたらさ、ちょっとだけ、順位とか注目度とかがさ……」

 そうミオが言った時、ログがはぁ。と大きくため息をついて、教室の入り口の方へと歩きだした

「ところで、もう帰るの?」

「ああ、フランと昼ご飯を食べに行くからな」

「えっ。待って、私も行く!」

 ログの言葉を聞いたマオが慌てて教科書を鞄に入れるとバタバタと急いで鞄を持ち、先に教室を出たログの後を追いかける

「一番になるのに影響が出るんじゃないのか?」

「今日の分はテストで良い点取るから大丈夫。それより、どこに行く?」

 ニコニコと話すマオの肩にフランもご飯が楽しみでニコニコと微笑む

「是非マオさんのおすすめのお店に行きましょう。ちょっと遠くでも良いですよね?」

 フランがマオより少し前を歩くログに声をかける。ちらりと一瞬、振り向くと特に返事もせずまた歩きだしたログの後ろではマオとフランが楽しそうに会話をしていた


「ユグス校長、どうしましたか?」

「いや、なにも」

 ちょうどその頃、ユグスが校長室の窓から見える学園の門付近にいたログとマオを見みつけ様子を見ていた。マオに話しかけられ嫌そうな顔をしているログを見てクスクスと笑っていた。そのユグスを不思議そうに教師が見ていると、ユグスの側にある机の上に突然一枚の紙がヒラヒラと舞い落ちた。机にあるたくさんある資料の上に舞い落ちたその紙を取ったユグス。紙にマオだけでなくログやフランの名前が書かれているのを見て、また一人フフッと笑った

「大会出場の許可が出たか。楽しみにしておこう」

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