第14話 嘲笑う鳥の道
ログ達が食事をしている途中、マオの家では一人の女の子が疲れた顔で玄関の扉を開けようとしていた
「ただいまー……」
家の中に入り、はぁ。とため息混じりに言ってすぐ夕ご飯の匂いが漂い、その美味しそうな匂いに誘われるようにキッチンに向かっていた
「あら、お帰り。ミオは帰りが早いのね」
「今日は本当は授業無い日だから。友達と学園で勉強してたから」
「あら、そうだったの。じゃあ、お疲れ様ってことで、おやつあるから食べてね」
料理中のカナリアが冷蔵庫を指をさす。ミオがその指先に誘われるように冷蔵庫を開けると、苺がたくさん乗ったケーキが二つ置かれていた
「これ……」
「マオが今日、魔術の大会で優勝したらしいの。それで慌てて買ってきちゃった」
「……マオが、へえ」
嬉しそうに話すカナリアの声を聞いて、ミオがフフッと笑いながらケーキを一つ取る。ケーキをテーブルに置き食べはじめると、カナリアが料理を中断しテーブルを挟んでミオの前に座った
「ミオは大会に出なかったの?」
「出ないよ。あれは新入生大会だし、魔術レベルの低い学園が集まるもん。私達じゃ相手にならないよ」
「そうなの?マオがあまりにも喜ぶから、ミオと戦ったと思ったわ」
ミオがケーキを食べる姿を見ながら珈琲を飲むカナリアがミオに話しかけると、はぁ。とため息をつきながらケーキを一口食べた
「マオの学園じゃあ、私の学校と相手にならないから対戦なんてしばらくは無理かもね」
「あらそうなの。じゃあマオはもっと頑張らないといけないのね」
困ったように笑いながらカナリアが珈琲を飲む。ミオが黙々とケーキを食べ終えるとカタンと椅子の音をたて立ち上がった
「ごちそうさま」
お皿とスプーンを流し台に置き、キッチンの入り口の方へと歩いていく
「夕ご飯ができたら呼んでね」
キッチンの入り口から少し顔を出してカナリアにそう言うと、階段を登り自室のある二階へと向かっていった
「……仕方ないわねぇ」
ミオがパタパタと足音をたてて階段を上る音を聞きながらカナリアが一人呟く。まだ少し残っていた珈琲を飲み干して、料理の続きをするためにゆっくりと椅子から立ち上がった
「大会で優勝だってさ」
ミオが部屋に入るなり一人クスクスと笑う。開けっぱなしだった窓からそよ風が入り、長い髪がユラユラと揺れる
「私の代わりにマオの様子を見てきて」
ミオの手のひらに現れた小さな黄色い羽の鳥が、ミオの言葉を聞いて、開けていた窓からひらりと羽を一つ床に落として飛び立った。その羽を取ったミオ、飛び立っていく鳥を見つめながら部屋の窓を閉めた
「まあ、使い魔も出せないマオが私に勝てるはずないけれど見てみる価値はあるかな」
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