第13話 寄り道の途中、聞こえた会話
「それでね、レイカ先生ってば興奮しちゃってさ、大変だったんだよ」
グレニア学園から出て、ログの奢りで夕ご飯を食べに来たマオ。夕食前でも混んでいて少し騒がしいお店の中、テンションの高いマオが一人ずっと喋っている
「ずっと保健室の先生とあれこれ話して、早く怪我を治してほしいのに見てもくれないし、話してもくれないの」
「仕方ないですよ。あんな豪華な優勝トロフィーが来たんですし」
「明日、玄関前に置いて自慢するって言ってたよ。頑張って良かったね」
「はい。みなさん、私達より喜んでくれて頑張って良かったです」
マオの隣に座るフランが頷きなから返事をする。二人の向かいに座るログは、二人の会話を聞きながらボーッと窓から外を見ている
「ちょっとログ。私とフランの話し聞いてる?」
ログの態度にマオが顔を少し近づけ話しかけると、ログがちらりと横目でマオを見て、はぁ。と一つため息をついた
「まあ、一応……」
小声で返事をするログにマオが睨んだまま動かない。そんな二人の様子にも気にせず、フランがログの隣に来て、食べ残していたご飯を食べている
「なんか前よりも食べてない?」
「大会でたくさん魔力を使ったんだろ。仕方ない」
「そうです、仕方がないのです」
二人の会話に返事をしたフランの頭をログが撫でると、ご機嫌な顔でフランがログの顔を見ながらご飯を食べる。すぐにたくさんあった食べ終えるフランを見て、マオもはぁ。とため息をついた
「ところでさぁ……。校長先生の最後の台詞、あれなに?」
マオが少し怒った口調で聞いてくる。ログは特に表情を変えず珈琲を飲む
「聞こえてましたか」
「そりゃあ聞こえるよ、でどういう意味?」
またログに顔を近づけ問いかけるが、今度は答えずまた一口珈琲を飲んだ
「学園に来て数日でもう転校するの?他の学園にフランを見られたから?」
「それも一理ある」
ログがそう答えると、マオが驚いた顔でログとフランを交互に見た
「なんで?」
またマオが問いかけるが、今度は答えずフランが食べようとしていたログのデザートを奪い食べはじめた。それを見てマオが不機嫌そうに椅子に座り直すと、フランが心配そうにマオの肩に乗った
「マオさん、今日はせっかく頑張ったんだから、あまり……」
「ああ、そうだったね。ごめんね、フラン」
肩に乗るフランの頭を撫でながら謝るマオ。二人に撫でられご機嫌に戻ったフランを見てマオもフフッと微笑む。二人の様子を見ていたログが飲み切った珈琲のコップをコトンとテーブルに置くと、ふぅ。と一つため息をつきながら椅子から立ち上がった
「先に帰る。フランはゆっくり食べて帰ってきて」
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