第11話 風が道標を表す
「大会の手続き間に合って良かったわ。二人とも頑張ってね」
「はい。レイカ先生、色々とありがとうございます」
数日後のグレニア学園の門前に集まったログ達。学園が休みの日のため、いつもより静かな学園の周りにマオの楽しそうな声が響いている。レイカと楽しそうに話すマオの肩に乗るフランが少し離れて見ているログに気づいた
「大丈夫です。手加減をしますから」
ログの肩に移動したフランがヒソヒソと話しかけると、ログがはぁ。と一つため息をついて、フランの頭に手をポンッと乗せ、髪をグシャグシャにするように撫でた
「さて、そろそろ大会に行く時間ね。二人とも怪我のないよう気を付けてね」
「レイカ先生が付き添わないんですか?」
「ええ、今回は……」
マオに返事をしながら学園の入り口の方に振り向いたレイカ。ログとマオも入り口の方を見て少しするとユグスが現れた
「もしかして、校長先生が私達の付き添いですか?」
「ああ。この学園に来て、はじめて大会に出るからね。挨拶もかねてね」
驚くマオにユグスが微笑みながら返事をすると、フランがログの顔を見てマオの肩に移動した
「それじゃあ行こうか」
ユグスが一瞬ログの方に目線を向けた後すぐ学園の入り口の方に目を向けると、地面にマオが見たことのない大きな魔方陣が現れ、マオとフランが顔を見合わせた
「ボクの魔術で行こう。遅刻しないからね」
ユグスがフフッと笑ってそう言うと、魔方陣の真ん中に移動した
「二人とも無理せず頑張ってね」
レイカが魔方陣の外からマオとフランに手を振る。それに答えるようにマオが頷くと、魔方陣に入らないようにだいぶ離れて立っていたログに気づいて 近づいた
「もし、優勝したら後でご飯奢ってね」
「……考えておく」
「やった。余計にやる気が出てきたね。ねっフラン」
「はいっ!頑張りましょう」
ログの返事を聞いて、マオとフランのテンションが上がったのか、パタパタと走ってユグスの魔方陣の中に入った。ユグスが二人が確認するとマオの足元からふわりとそよ風が吹いて、マオが下を向く。フランも一緒に下を向いて魔方陣を見た時、眩い光が溢れだしマオとフランがぎゅっと目を強く閉じた
「大会に行きましたか。後は怪我がないように願うだけね」
マオ達や魔方陣が消え、学園の門前に残ったレイカが呟やく。同じく残ったログはふぅ。と一つため息をついてグレニア学園を後にした
「人がたくさんいますね」
目を開いてすぐ、マオと年が近そうな人達が大勢いてフランが驚いて、辺りを見渡す。マオも来たことのない大きな広場とたくさんの人に戸惑いつつも肩に乗ったままのフランを捕まえぎゅっと抱きしめた
「フラン、全員倒して絶対優勝しようね」
「はい。出るからには頑張ります」
緊張しつつもエヘヘと笑いあい誓い合う二人。そんな二人をユグスか微笑ましそうに見ている
「すまないね、ちょっと挨拶回りをするからここからはしばらく二人で動いてくれるかい?」
「あっ、はい……」
「それじゃ二人とも頑張ってね」
マオとフランに手を振り去っていくユグスを見送ると、すぐに人混みに紛れ姿が見えなくなった
「忙しいんですね」
フランが呟くように言った時、少し離れた場所からワアッと騒ぎだした生徒の声と、見上げるほど大きな火柱が現れた。周辺にいた人達やマオとフランが呆気に取られ見ていると今度は強風が吹き荒れ、フランが目をぎゅっと閉じると、風に負けて飛ばされそうになった。慌ててマオがフランを抱きしめると、風は止み、火柱も消えていた。周りにいた人達が火柱があった方に走り出し、更に辺りが騒がしくなっていく。フランがマオの肩に乗り直し、マオがフランの頭をそっと撫でた
「試合が始まったみたいだね。見学しながら私達の試合の作戦でも立てよっか」
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