第8話 良い天気の午後
「なので、この魔術に対し、私はこの魔術を使います。理由は……」
お昼ごはんを食べ終え、午後の授業を受けるログ達。レイカが魔術の授業を話していると、マオはウトウトと眠そうに目を閉じたり開いたりしている。ログは肩肘をつきつつボーッと話を聞いている。そのろログの机の上に置かれた教科書に、レイカの話を子守唄にして、フランがスースーと寝息をたてて眠っている
「フラン、起きろ」
フランの体をユラユラと揺らして起こす。何度か揺らしてやっと起きたフランの髪がまたグシャグシャの形になっていた
「はい……なんでしょうか?」
「眠気覚ましに校舎の中でも散歩したらどうだ?」
「散歩ですか……?」
「ここで寝ていたら授業の邪魔だからな」
「……分かりました」
「あまり目立つ行動はしないようにな」
眠い目を擦り、大きくアクビをしながらフランが姿を消すとすぐフランが寝ていたせいで少し暖かくなった教科書の上にふて寝をした
「やっぱり姿を消して休んでおくべきでしたか……」
また大きなアクビをしつつ独り言を呟き廊下を進む。授業中なせいでいつもより静かな廊下に眠気は収まらず、ログの所に戻ろうかと考えはじめた時、フランの近くにある階段から見覚えのある人が昇ってきた
「おや奇遇だね」
ユグスがフランを見て少し驚きつつ声をかけた。フランも驚きつつもペコリと頭を下げて挨拶をすると、ユグスがフランが一人なのに気づいた
「あれ?一人でいるのかい?」
「はい。お昼寝をしてしまうので、ちょっと散歩をするように言われまして、それで……」
「そうか。今日は言い天気だからな。みんな、お昼寝をするのは無理もない」
そう言うと、二人のすぐ隣にある教室を見た。ログやマオ達のクラスと同じく、みんな眠そうに授業を受けていた。授業の様子を見ていると一人の生徒がアクビをして、フランもつられてアクビをした
「あっ、ユグス校長。ここにいたんですか?探しましたよ!」
突然、フランがいる廊下の反対側から男性教師の声が聞こえてきた。話しかけた声が小声でも、静かな廊下に響いて、フランが一瞬、体をビクッとさせた
「もう用事が出来たようだ。話の続きはまた……」
ユグスがフランにそう声をかけると男性教師の所へ向かっていた。廊下の端でユグスが来るのを待っている男性教師と合流すると会話をしながら去っていった
「緊張しました……」
ユグスの姿が見えなくなると、フランがはぁ。とため息をついた。授業終了のチャイムが鳴り、静かだった校舎が一気に騒がしくなりはじめ、フランがログの元に帰るため姿を消した
「今回の試験はどうしますか?この学園の参加は今年も見送りということにしますか?」
フランと別れた後、校長室に戻ったユグス。椅子に座ると校長室に来る途中、男性教師から受け取った資料を読み返し、パサッと机の上に無造作に置いて、男性教師にフフッと笑いながら顔を横に振った
「いや、今年は新入生を主にして参加をしてみよう。きっといい思い出になるはずだろうからな」
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