第18話 ラスボス『GAME8』
6月1日
JAXAが、種子島宇宙センターからGPSの精度を高める準天頂衛星「みちびき2号」を載せたH-IIAロケット34号機の打ち上げ、同衛星の軌道投入に成功。
梅雨の季節、越前駅前のアパートは湿気と蒸し暑さで満たされていた。外はどんよりとした曇り空で、時折り雨がざーざーと降り注いでいる。アパートの周りには濡れたアスファルトが広がり、水たまりができている。
アパートの外観は古びたが、懐かしい雰囲気が漂っている。壁面には苔が生え、雨水で色あせた壁がさらに古さを際立たせている。窓からは雨粒が滴り落ち、風に揺れる木々が静かな雰囲気を演出している。
アパートの中に入ると、薄暗い廊下が広がっている。湿気による生活感漂う匂いが立ち込め、足元には新聞紙を敷いたりして水漏れを防いでいる光景が見られる。階段を上がると、各部屋からはテレビやラジオの音、時折り子供たちの声が聞こえてくる。
部屋の中はカビ臭く、湿気で湿った壁紙やカーテンが目立つ。窓辺には雨漏りで濡れた場所があり、そこにバケツが置かれている光景も見られる。部屋の中は暗く、照明が落ち着いた雰囲気を演出している。
梅雨時の越前駅前のアパートは、湿気と古さが満ちた環境でありながら、何かしらの暖かさや人々の生活の息吹を感じさせる場所だった。
和也はアパートの『109』でノートパソコンをイジっていた。たまに来る友人は渋谷のデパートみたいと茶化していた。
BOOKQUESTにはボスキャラに3回負けると本物のモンスターが現れるという都市伝説があった。これはプレイヤーたちの間で語り継がれる興味深い噂であり、和也もその噂を耳にしていた。
6月12日 - 恩賜上野動物園でジャイアントパンダのシンシンが5年ぶり5度目の出産
和也はBOOKQUESTのボスキャラに挑戦することに決めた。
和也は神保町の古本屋街を歩きながら、周囲を警戒していた。神保町は東京都千代田区北部に位置し、神田地域に属する。北で西神田、北東で神田猿楽町、東で神田駿河台、南東で神田小川町、南で神田錦町・一ツ橋、南西で九段南、西で九段北と接する。中心部には、東西に神保町西隣の靖国神社前を通る靖国通りが、南北に白山通りが通る。この2つの交差地点が神保町交差点である。多くの書店や出版社、出版問屋の取次店が所在し、世界最大規模の書店・古書店街(神田古書店街)として知られている。これら書店は下記の理由により靖国通りやすずらん通りの南側に多く立地する。対面となる北側にはスポーツ用品店や登山用品店、飲食店が多く立ち並んでおり、古書以外にも、スキー用品やカレーライスのメッカとしてもマスコミに取り上げられることがある。靖国通りと明大通りの交わる駿河台下交差点を境に、楽器店街の御茶ノ水とスポーツ用品店街の神田小川町に隣接しており、商業地として賑わっている。その他、プロテスタント(メソジスト)系キリスト教会の救世軍日本本営・神田小隊がある。
神保町とその周辺には、学校・予備校などが多い。明治大学、法政大学、日本大学、専修大学、東京医科歯科大学、順天堂大学、共立女子大学、駿台予備校、大原簿記学校、TAC、LECなどがあり、学生街としても機能している。かつては東京商科大学や國學院大學、また1970年代までは中央大学もこの地にあった。法律学校を興りとする明治・中央・法政・日大・専修の各大学は神田に集った各校として「神田5大学」と呼ばれていた。特に明治、中央、日大、専修が軒を連ねる街並みは、フランスの首都パリのカルチエ・ラタンに因んで「日本のカルチェ・ラタン」として知られた。その中には、関東大震災や太平洋戦争の戦災、学生運動、校地拡大や工場等制限法の規制などにより郊外に移転した大学もあるものの、公式に認められている名称であり、今日においても使用されている。こうした地域性から安価な飲食店が多く立ち並んでいる。また、メインストリートから脇道に入ると今川小路など伝統的な江戸の町人地を今に伝える路地を軸とした低層建築が集まる地域となっている。
近年は大学校舎の高層化や、再開発による高層ビル、マンションの建設で街並みも変貌を遂げつつある。小学館や集英社の本社がある一ツ橋に隣接しており、神保町内にも多数の出版社が所在している。
尾張国からの脅威が迫る中、彼は古本屋の入口に立ち止まった。その店は周囲とは一線を画すような陰湿な雰囲気を醸し出していた。
ドアを開けると、埃っぽい匂いとともに古びた書籍の香りが漂った。店内には薄暗い照明が灯り、奥に進むほどに本棚が高くなり、薄暗さが増していた。
そして、その店を切り盛りする店長が現れた。彼は陰湿な笑みを浮かべ、和也に視線を送った。店長の態度や雰囲気から、彼が何かを隠していることを和也は感じ取った。
和也は慎重に店内を見渡し、同時に店長の動向にも気を配った。彼は尾張国の脅威に対する警戒心を忘れず、この古本屋の陰謀に巻き込まれないよう用心深く行動した。
🌪
荒れ狂う嵐がBOOKQUESTの最終ステージを包み込んでいた。神野悪五郎はその暗雲の中から姿を現した。彼は冷徹なまなざしを朝倉和也に向け、言葉を交わすことなく攻撃の準備を始めた。
多くの絵巻では、五郎左衛門がこの物語の主人公・稲生平太郎に語る中に登場するのみだが、『稲生武太夫一代記』では、五郎左衛門が武太夫に「先(ま)づ、悪五郎を、眼の前に引連れて、見せ申すべし」と言い、武太夫が背後を見ると、冠装束姿の者が半身の状態で現れたとある。ただし『稲生物怪録絵巻』など多くの絵巻では、この冠装束姿の者は武太夫を守護する氏神とされており、『稲生武太夫一代記』であたかも五郎左衛門が悪五郎を武太夫の眼の前に連れて来たように描かれているのは、文章の不整合のためと指摘されている。
朝倉は紫式部の力を最大限に引き出し、神野に立ち向かった。二人の戦闘は瞬く間に激化し、街全体がその激しいエネルギーに包まれた。
神野は独特の武器を使いこなし、猛烈な攻撃を仕掛けてきた。一方、朝倉は巧みな回避と迎撃でその攻撃に対抗した。彼らの戦いは技術と戦術の饗宴となり、周囲の者たちは息を呑むばかりだった。
滝沢馬琴の名前を思い出しながら、神野がさらに強力な攻撃を放つ。しかし、朝倉はその攻撃を見切り、反撃に転じる。激しい打撃音が響き渡り、両者の力がぶつかり合う。
紫式部は魔法の才能に長け、その紫電一閃と雅なる詠唱で多くの敵を打ち破ってきた。しかし、神野悪五郎はその強力な魔法にも動じることなく、冷静に戦いを進めていった。
戦闘が激化する中、紫式部は自身の魔法力を最大限に発揮しようと詠唱を始めた。雅なる詠唱によって詠唱時間が短縮され、紫電一閃の効果も高まっていた。
しかし、神野悪五郎はその詠唱を見逃さず、瞬時に反応して攻撃を仕掛けた。紫式部の紫電一閃は激しい雷光を放ち、敵を感電させるはずだったが、神野は巧みに回避し、自身の攻撃を続けた。
紫式部のHPは次第に減少し、魔力も限界に近づいていた。神野の攻撃は容赦なく続き、ついに紫式部は敗れを認めざるを得なかった。その美しき詠唱も虚しく、紫式部は力尽きた。
神野悪五郎の強さと冷静さに敬意を払いつつも、紫式部は戦いの中で自身の成長を感じた。
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