あたしの人生
第2話 夢
教室に入ると、もう見守り隊のおばあちゃんが教室の前の隅に座っていた。
今日は朝から平和学習の時間である。
クラスのみんなが、教室の自分の席に着席して、おばあちゃんが担任の先生の隣に座ると言った。
おばあちゃん 「くちだけでは、あの光景は、説明することが、できません。
なので、今から戦時博物館に行きます。」
とても優しい声で、笑いながら、でも時々詰まりながら言った。
ちなみに戦時博物館というのは、戦時中の服や、写真、遺品などが展示されている場所である。
戦時中のことについて知るにはうってつけだが、重苦しいようなイメージがあるので、誰もプライベートで訪れることはなかった。
クラスのみんなで並び、みんな急に外に学習しに行くことになったので、ドキドキする気持ちで向かった。
あたし「博物館までどれくらいかかるの?」
おばあちゃん「炊飯器でご飯を炊くときにかかる時間くらいかね。」
本心では(なにいってんの?)と思いながらも、あはははと愛想を振りまいた。
そんなこんなで、30分ほどかけて戦時博物館に着いた。
おばあちゃん「ここでは戦時中の様子について学ぶことができます。展示されている写真を見ながら私の話を聞いて学んでもらいます。」
その時の話し方は、厳しく、笑顔は薄かった。
博物館に入り、あとむちゃんは、お友達のみえちゃんと話しながら、受付を越え、受付の横の道をまっすぐ入った。すると、目にある写真が飛び込んできた。
それは、上空から見た街の写真である。しかし、その街は燃やし尽くされており、家からは煙が上がっていた。
しかも、みんなは知らない街だと言っているが、わたしには違うように思えた。
全部知っている、何もかもわかる、あのビルもあの家もあの道も、知らないはずなのに知っている。
私はその写真から目が離せなかった
おばあちゃんの話など一言も耳に入ってこなかった。
その写真を見ていると、鳥肌が立ち、自然に涙と汗が溢れて止まらない。
そんなあたしを見たみんながあたしを心配して先生を呼んでくれた。
あたしはその日はお母さんに迎えにきてもらって家で休むことになった。
その日、あたしは見た、長い長い夢を。
私が生まれるずーーっと前。 @ymsj
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