第13話

「試してみる?」

 そう言葉を放った唇が近づいてきた。

 触れる寸前で止まる、その言葉通り私を試すように。

 心臓がまるで二倍に膨れたように暴れている。


 私はそっと目を閉じた。


 初めての感覚だ、とても柔らかい。

 キスがこんなにも温かいなんて知らなかった。離れてしまうのが寂しい。

「そんな顔されたら、止められないよ」

 早乙女さんが眉を寄せる。

「真紘さん」

「名前、嬉しい」

 私がどんな顔をしているのかわからないけど、真紘さんを求めているのは事実で、もう会えなくなるなんて絶対に嫌だ。

 再びのキスも優しく触れられ、けれど今度はついばむように繰り返される。

「んんっ」

 息継ぎのタイミングでペロリと下唇を舐められ、そのまま舌が滑り込んでくる。甘い、不思議だな、やっぱり初めての感覚なのだ。

 はしたないと思われるのは嫌だけど、もっとして欲しい、きっと物欲しげな顔をしていると思う。

「京香、来て」

 抱きしめられて耳元で名前を呼ばれただけで力が抜け、抱えられながらベッドへ移動した。

 このシュチュエーションは初めてではないけれど、見上げた先にいるのは真紘さんで、私と同じ女性で。

「嫌だったら言ってね、すぐにやめるから」

 そんな言葉をかけられたのも初めてだし、まっすぐに見つめる瞳が放つ光も優しい。

 細い指が私の胸の膨らみを捉える。

 比べるのはいけないと思いつつ、どうしても考えてしまう。秀吾はもっと激しく揉んでくる、痛いほどに。

 真紘さんのそれは、優しいフェザータッチで、場所によってはくすぐったくもある。そして肝心なところは避けているため期待感が高まっていく。

「ま……ひろ……さ」

「その顔いいね、欲しいの?」

 私が頷くと、綺麗な顔が綻び口角が上がる。

 敏感な突起の周りに舌が滑る、はやく触れて欲しくて体が跳ねる。

「はっ、ぁぁ」

 すぐに刺激がやってくる。左右の突起を舌先と指で同時に攻められていたのだ。それだけで、お腹の中心がキュンキュンと締め付けられる。

 チュパっと音がして口が離され、プルンと突起が震える。そしてまたキスが降りてくる。今度は私も積極的に舌を絡め存分に味わう。

 なんで私がして欲しいことをこんなにも的確にしてくれるのか。

 キスと愛撫と見つめる瞳で気持ちが昂り、体温も上昇していく。

「可愛い京香、全部見せて」

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