愛約聖書

道 原子

第1話 告白はしておけ

「恋愛してみようかな」

ある友人が言った。彼は今年で高校3年生になる。ほとんどの人がもうそろそろ勉強だから…と考えるだろう。長年の恋も諦めの時期に入る頃合いだろう。

それは間違っておらず、勉強に打ち込みたい人に告白したらほぼ間違いなく振られるだろう。

でも、高校3年生という時期はチャンスでもある。1年以内には違う環境に行き、違う人と関係を作ることになる。少なくともそうなる人が多い。つまりは告白して振られて気まずくなってもあまり気にすることはないのだ。だから振られてもいいと割り切れる。

高校3年生という時期は努力が求められる。その時期に数分髪を整えて、洗顔して、服を整えて何が悪いと言うのだろうか。これも小さい努力と言える。大きい努力だけをして生きていくなんて一般人には不可能だ。


たとえの話をしてみよう。

もしあなたが高3で意中の人に告白したとする。

結果は「付き合う」「振られる」「今はちょっと…」の3択だろう。それぞれ見ていこう。

まず1つ目「付き合う」だ。これは大成功。自分が「受験勉強を理由に捨てるのは惜しい」と思われたということだと思われる。おめでとう。彼女ができた、彼女がいたという結果が得られた。受験勉強よりもいい人だと思ってもらえたか、それ以外の理由かは知る由もないが、とにかくおめでたい。今夜は赤飯である。

そして2つ目「振られる」だ。単純にいい人だと思ってもらえてないということだ。告白という経験をし、努力が足りてないという結果が得られた。つまりこれも悪いことではない。ついでにそのときに何がだめか聞いてみると努力の方向性を定めることができるからもはやおめでたいの領域である。ちょっとした噂になってしまっても前に書いたように、環境がもうすぐ変わるため気にしなくてもいい。実質勝ちだ。

最後に3つ目「今はちょっと…」というよくあるアレである。

これは「いい人だけど勉強とかを優先したい」という意味の方である。最近はそれを理由に好きではない人も振ってしまう人がいるのでなんとも言えないラインではあるが、自分の努力の証明にもなる。ある程度は認められたのだと思って次に繋げる自信になる。これも大勝利と言って差し支えないだろう。「自分の努力が認められ、悪い人間だとは思われず、告白することができたという経験」を得ることができたのだ。しかも振られたあとの対処もこのうちに学んでおけるだろう。早いうちに学んだほうが、将来のためになることだろう。


というわけで例え話はここまでにして、言いたかったことはとりあえず努力しつつ砕ける勢いであたってみるべきであるということだ。

当たって砕けろ、名言である。

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