わたしの魂は死の色

@asahi2763

遺書、その最初のページ

この最初の文章がもし誰かに読まれているのであれば、それはわたしの最後の決断が、行動が、失敗に終わることなく無事成功したというこだ。

喜ばしい。

また、この何気ないごく普通な遺書を手に取っているということは…

きっと、きみはさぞこの冷たい世界でまだ暖かい心を秘めているということに違いない。

もし、そうでなければこんな無価値な数枚の紙はゴミ箱の中で息をしていただろうだから。

さっそくだがこの遺書は、私が最初、そして最後に死をもって人の役に立つものをするために書かれたものだといえる。

わたしが生より死の文字がより似合う人間である理由、それについて語ったもの。

説教するのかと思われても構わない。

出来れば、わたしという人を想像した時に、どこか気持ち悪くて嫌な人だと思っていて欲しいくらいだ。

そうでなければ、これを手に取っているきみは私が死ぬべき人ではなかったと惜しむことになる可能性が生まれてしまう。

それではダメだ。

わたしは死ぬべくして死んだ。輝かしい生を謳歌したのではない。

後悔に後悔を重ね、それでもなお最後まで不正解を選び、自ら前に進むことを止めてしまった無様な人間なんだから。

前置きがあまり長くなるのも良くない。

そろそろ本題に入ろう。

まぁ、読んでいて快感を覚えるような、読み応えのあるものではないというのはもうきみも知っている。

せっかくのご縁だ。きみが先々の道で少しでも堂々となれるような力を上げ得られたのであれば十分。

では、ご苦労さん。この次のページからが本文だ。

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