動機不明(エピソード1)

@k0905f0905

第1話

「名前は」

捜査一課刑事科過(かすぎ)良作が

歌舞伎町宝石商殺しの容疑者、三門左門に

詰め寄っていた。

「当ててみな間抜な刑事さん」

「査問委員会」

「面白いこと言うねこの刑事さん」

左門がさほどおもしろくもなさそうに

ポソリとつぶやいた。

「名前は」

「新黒左門エース」

「なんだ、それは」

「新発売のビタミン剤の名前だ、よく覚えとけ」

左門がそう嘲りながらいうと、

科過が左門の胸倉を思いきり掴んで

自分の方に引き寄せた。

「いいか、オレはこういうやり取りが嫌いだ。

よく覚えとけ」

「へへへ」

科過が左門の胸から手を離した。

「もう一度だけ聴く。オマエの名前は」

「花吹雪三太郎」

「まあいい」

科過が一旦、折れた形になった。

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