◆短いDM

 その日の夕方、TwisperにこんなDMが来た。


 * * *


 こんにちは、ヤミさん。以前「だるまさんがころんだ」を投稿した「ロッシー」です。


 昨日の生放送でを聞いたからでしょうか。今朝、ちょっぴり不思議な夢を見ました。


 わたしは駅のホームに立っています。

 ホームには電車が一両、停まっていて、中には大勢の人が乗っていました。小学生がやけに目につくので、もしかして遠足か何かかなと思っていると……その中に、宮藤さんがいるではありませんか。


 わたしがお話しした、あの転校生です。亡くなる前によく着ていた赤いトレーナーを身につけて、はにかむような笑顔で私に手を振っています。

 その笑顔を見て、私はなぜか「ああ、これで全部解決したんだ。よかったなあ」と思うのです。


 やがて電車はゆっくりと動きだし、どこか遠いところへ走り去ってゆきます。わたしはホームに立って、電車が見えなくなるまで、ずっと手を振っていました。


 怪談にもなっていない、ただの夢の話ですみません。でも、どうしても誰かに聞いてほしくて、DMさせてもらいました。


 * * *


 わたしは「ロッシー」さんへのお礼の文面を打ちこみながら、いつかカンカンカンの事件をひとつの怪談にまとめる日が来たら、最後にこのDMの話をしようと決めていた。

 それをもし、愛果ちゃんが聞いてくれたら……きっと母親の実果さんの耳にも入るだろうから。


 メッセージを送信し、そのままスマホを閉じかけたわたしは、途中で思い直して、メッセージアプリのLIMEを開いた。

 ひかりに短いメッセージを送る。


『明日、何して遊ぶ?』


 送ってから、今度こそスマホを閉じて、ベッドに寝転がる。どきどきする心臓を感じながら待っていると、握りしめたスマホが、ひかりからの返信を報せた。


 思わず顔がにやける。


 明日が終われば明後日あさって。その次は明々後日しあさって。時間はたっぷりある。

 まだ夏休みははじまったばかりだし、それに――わたしとひかりのつながりは、その先も、ずっと続いてゆくのだから。


(#2 つながる呪いはカンカンカン――おわり)

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