上手に生きていけない
百乃若鶏
第1話
大学二年の春に僕は大学に行くのを辞めた。学費がもったいないから留年だったり退学ではなく休学にすることにした。形式だけのクラス担任に休学の理由を尋ねられた。うつ病ですと告げて僕は春休みの間に手続きを済ませ三月にはもう晴れて無色状態になった。うつ病の診断は嘘じゃない、診断書も貰っている。だけどもうつ病なのに面倒な休学の手続きを済ませられたことに違和感を感じた。
実際、気分が下がることはあるが元気なときもある、友達と遊んだり、食欲も睡眠欲も病気になる前よりもずっとある。こう、なんか、違う気がする。ずっと家に引きこもって何もできずに過ごしていくだとそう思っていた。自分は健常者なんじゃないかと思う。だけども忘れたときにくるあの感覚。息を吸おうとしても喉に何か詰まって苦しくなる。
魚みたいに口をパクパクさせて必死に息を吸おうとするけどやっぱりできない。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ無理無理無理無理無理無理死にたい死にたい死にたい死にたい死にたいと頭の中で負の思考が止まらくなる。負の感情が思い出したくない事や気が付きたくない事、そういう自分にとって不都合なことすべてを絡めとって濁流みたいに流れ込んでくる。
今日も腕の傷が一本増えた。
上手に生きていけない 百乃若鶏 @husenobunsy0
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