2話:有名女配信者を救う

「それじゃ俺行ってくるね」


 何年も夢に見てきたダンジョン攻略、ダンチューブの中のものでしかなかったものが今目の前にある。


 後ろで何かを言っている師匠を気にも止めずに駆け抜ける。


「ついに...来た!渋谷ダンジョン!!」


 いざ入り口の目の前までくると感極まってしまい大声で叫ぶ。周りの人がこちらをチラチラと見ているが気にしない。


 てことでとりあえず入場しようとすると入り口にいる係員さんにパスポートの確認をお願いされたので先ほど貰ったばかりの物を見せる。


「では頑張ってくださいねー」


 そんな声をかけてくれる受付の人に見送られながら人生初のダンジョンに入った。


 ここは東京都の渋谷区ダンジョンまだ攻略は完了しておらず、現在の最下層は67階層。


 上の階層では弱いモンスターも多く初心者向けのダンジョンとして有名でもある。そんなダンジョンに今から俺は挑戦する。


 今日は初挑戦ということもあり、今の実力を測りたいため配信などはしないがいつかはしたいと思っている。


 まず最初に現れたのはスライムだ。ぴょんぴょん跳ねるだけのぷにぷにモンスター。


「まずは手始めに、ライガ!」


 一番弱い電撃魔法で様子見がてら当ててみると、スライムは跡形もなく消えた。


 まあ最弱モンスターなんてのはそんなものかと思いつつドロップした魔石を拾う。


 ダンジョンのモンスターを倒すと基本的に魔石がドロップし、これはギルドなどで買い取ってもらえる。


 その後も余裕だったのでと次の階層にと進んでいく。


 気がついたら30階層だった。


 ダンチューブで見た限り2桁階層で脱初心者、30階層は中級者レベルだ。さらに言えばヒト族ではトップクラスの階層である。


 冒険者初日の俺が行けるような場所ではないはずだが、やっと敵に手応えを感じ始めたところだ。


「うーむ、俺ってもしかして強いのかな...」


悩みながらも噛みついてきたウルフを避けつつすれ違いざまに魔法剣で切り付ける。


「ファイグ」


 追撃で炎魔法を使いトドメを指す。一撃でこそ倒せないもののそこまでの苦労もなく倒せてしまう。


「30階層もこんなもんか...」


 とその時少し遠くでガシャアアアンと岩が崩れ落ちたような音がし、驚いて振り向く。


 その後も何度か地響きにも似た音がこちらにまで届いてきたため、流石に気になり様子を見に行く。


 音が鳴り響く部屋を覗き見ると、女の剣士が1人で大型のゴーレムと戦っていた。


 かなり苦戦を強いられているように見えるが、手助けした方がいいのか、横取りになってしまうのかが分からず様子見を続ける。


 するとこちらに気付いたようで


「イレギュラーが起きた、助けて!」


 と大きな声で叫ぶ。


 俺はその声に反応し即座に魔法剣を抜きゴーレムの顔目掛け飛びかかると同時に切り付ける。


「かったいっ...」


 しかし大したダメージにはならないようで、ゴーレムの顔は少し欠けただけだった。


 そのまま流れるように女剣士の隣に着地する。


「あなた剣士?」


 俺の剣を見ながらそう聞いてくる


「いんや、魔剣士だ」


 キラーンと剣を構えながら左手で見せつけるように炎の魔法を出す。


「水の魔法は?」


「使えるけど得意じゃない」


「そうか、じゃあ一番得意な魔法の最大火力を準備して」


 そう言うと女剣士は再びゴーレムに向かって駆け出しヘイトを取るようにゴーレムの意識を寄せ、攻撃をいなしだす。


 それを見てすぐに第五階梯炎魔法の詠唱を始める。20秒ほどの詠唱を終えたのち魔法を放つため魔法剣を振り上げる。


「詠唱終わったから逃げる準備して!」


 そう言うと女剣士はコクリと頷き、ゴーレムから距離を取る。


「ファイゴ!」


 ゴーレムと同じくらいの大きさの炎を頭の上に展開し、魔法剣を振り下ろすと同時に炎をゴーレムに向けて飛ばす。


 着弾と同時に大きな爆発を引き起こし、風が吹き荒れる。


 砂埃が晴れるとそこには大きな魔石とドロップアイテムが落ちていた。

 


 

















 



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世界最強の魔女の弟子ダンジョンライブにて無双する すりたち @siu_desu3

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