第二十二夜『遺伝計算-blood type harassment-』
私は血液型占いが
血液型占いの持つ
別に私がB型だからではない。
今皆さんは私がB型だと言って、やっぱりそうだと思ったと言うだろう。この様なレッテル張りが嫌いなのだ。
あんな物は典型的バーナム効果に過ぎない。
人に水を与えた後、長時間水を与えずにいたら水を異様に欲しがると言った様なインチキだ。
もしくは、パンを食べた人間の致死率は百パーセントだと
今あなた方は、これだからB型は……と思った事だろう。
それこそが血液型占いの持つ非社会性、有害性である。
二十世紀のある政治家は、異なる血液型の輸血を受けると言う医療事故の末に命を落とした。
彼は社会が血液型占いを信じている故に、他者から特定の血液型だと公表してレッテル張りされる事を恐れて血液型を
そもそも血液型と言う
当時の
そこから血液型占いを一歩
これまで確固とした学説こそ存在してない血液型占いだったが、千九百三十年代ドイツではドイツ人に多い血液型を
ナチス・ドイツはアーリア人こそが優等種であると言う考えの元、演説やプロパガンダや考証を行ない、血液型占いもその一環として利用されたのだ。
何せアーリア人は世界一の人種なのだから間違いない、
演説や発表の
誰にでもあてはまる事を占いだと言って聞かせるだけで、なるほどそうかと多くの人は信じてしまう。
それを熱狂の中、民衆を
私は毎年こうやって血液型占いの有害性を
* * *
「何ですか? この映像」
壁面にツタの這った、幻想的な雰囲気のする、昔の映画かアニメで見る様な、おまじないの品々を取り扱う小さな小間物屋があった。
店の中では、
青年は丁度店の表の
店主の女性が眺めていたのは書籍と
「あらカナエ、お掃除ご苦労様。これはね、大昔あった占いとか歴史の映像。今ではある理由の元、失われて久しい物ね。もっとも、この占いを信じていた地域は極めて限定的だったし、今ではその占いも全く役に立たないのだけれども」
店主の説明はその実的を射た物だったが、青年は全く理解が出来ないでいた。
「俺はその血液型? って言うのは知らないけど、つまり血を使った占いがあったんですね?」
「ええ、そう言う事になるわ。でも血を使うと言っても、カナエが考えている占いとは多分違うわ。例えばゴリラの血液は全て同じ性質を有して居て、これをB型と呼ぶの。逆にヒトの血液型は全てO型と呼ばれる物で……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます