第五話『ギルガメッシュ大王の帰還-Mermaid Ragout-』
「畜生、また
何が若返りの
「クソ
そう吐き捨てて、鏡を見る。心なしか
しかし私の趣味は、満足が行く物には中々辿り着かない。
無論、
ここ、私の部屋には陸海空の不老不死の研究がぎっしりと詰まっている。
壁に飾ってある美術品に見える剣は、
あっちにある鉢植えになっているのは、小型化したリンゴの木で、成っているのは英雄や各国の軍が追い求めたと言うヘスペリデスの黄金リンゴ。うん、どう見ても金色ではなく、黄色だ。おのれ。
あちらこちらにファイリングされた記述は、不老不死の飲み物ないし薬の製造法。竜の骨だの月の石だの千年間練り続けるだの不可能な事が書いてあったり、水銀を材料にするだの大陸中の毒虫を煮詰めるだの体に悪そうな事ばかり書いてある。アホか。
あとは直接的なテーマから外れるが、
ただ一つ、ある伝手から評判の良い店で買った、とっておきの品がある。何でもその店長は本物の魔女で、よくあたる占いや曰くアリの商品を
それこそが私のとっておきだ。店で目にした時は普通の切り身にしか見えなかったが、ある事情で横流しして店に並べたと言う、食すと不老不死になる人魚の肉らしい。
真偽はともかく、その人魚の肉とやらは今、この部屋の冷蔵庫に大事に保管してある。
無論、他の品々と同じで、精々体に良いとか、口にするとしないでは寿命が変わるスーパーフード程度の代物だろう。今からどう調理するか楽しみで胸が躍る。
そう思いながら、部屋の小型冷蔵庫を開けると、なんと人魚の肉が無い!
一体どこへ失せたんだ? 物盗りの仕業ならば、高価そうな外見の模造剣でも盗って行くだろう。そしてこの部屋に入るのは、部外者を除けば妻だけだ。
「なあお前、私の部屋の冷蔵庫にあった切り身を知らないか? あの赤い奴」
「あら、あの鮭の切り身の事? 使っていいか聞いたら、ああ。って言ったじゃない。昨日煮つけにして二人で食べたのがあれよ」
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