アイオーンの小物屋さん
新渡戸レオノフ
序章『待ち人来たらず-rib-』
店内には、飾り気の無いシンプルな黒のイブニングドレス風の姿で墨を垂らした様な黒髪が印象的な店主と、
「おい、あんた! なんて物を売りつけてくれたんだ!」
「なんて物も何も、私はあなたが心から欲しがる商品を、あなたにとって適切な価格でお売りしただけです」
店主の女性は興奮した男性客に対して淡々と言うが、彼にその言葉は真っ当に聞こえておらず意味の通らない言葉を吐き続けるだけだった。
「こんなもん要るかよ! とにかく!
興奮した男性客は
「あら、お客様。こちらの商品は返金には応じては……」
「要るもんかよ! 二度と顔を見せるんじゃねえ!」
興奮した男性客は乱暴に店の
「このハンカチ、お気に召さなかったのかしら? 折角あの人にピッタリの商品だと思っって、
店主の女性は残念そうに溜息を吐き、捨てられたハンカチを拾った。
「まっ、いいわ」
店主の女性は
「早く来てくれないかしら? 私の理想のお客様」
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