甘い毒(天瀬視点)

「桃先輩。おはようございます。なでなでしてあげますね」



「髪が乱れてますね、整えますよ〜?」



「桃先輩?はい、あーん。美味しいですか?」



「生徒会のお仕事お疲れ様です。膝枕してあげますから、こっちに来てください」



「トイレに行くんですか?手伝いますね?」



なにこれ。え?なにこれ?今日、私自分のことほとんど何もしてないんだけど、朝から今の今までお世話されっぱなしなんだけど。てか最後の何!?トイレまでお世話っておかしいでしょ!?何を手伝う訳!?私はペットじゃないのに!



ふぅ、一旦落ち着こう。とりあえず現状の確認をしよう。まず?何故かずっとお世話されてて私がダメ人間になりそうなのと。ドロドロに甘やかされてダメ人間になりそうなのと。お世話されたりスキンシップ取ったり、褒められるのが嬉しくて既にダメ人間に片足突っ込んでるって感じだね。



あれ?なんかダメじゃない?柚希ちゃんってダメ人間製造装置だったの?不味いよね。これは結構不味いね。



「あ、桃先輩。また髪が乱れてますよ。ついでに梳かしてあげますからこっちに来てください」


ここは、私が自立した人間であることを主張しなくては!


「大丈夫だよ?自分でやるから」

「え?いやいや、私の趣味を奪わないでくださいよ。はい梳かしますね〜」


え、流れるように私の背後に!?というか趣味?私をダメ人間にするのが趣味なの?


…柚希ちゃんが居ない時に何も出来なくならないようにだけしとこ。甘やかされるのは嫌じゃ無いし、私も嬉しいからね。それにしても髪梳かすの上手いなぁ。すっごく心地いい。きもちーなぁー。……はっ、なんか知能指数下がってた。柚希ちゃん…やるじゃん…


「桃先輩って肌が本当に綺麗ですよね…だから、こんな風に…んっ…ほら綺麗に付いた」

「…え?…キスマ付けた?」

「はい、綺麗に付きましたよ」


え?え?こんな見えるところに付けたの?さすがに隠しきれなくない?まだ授業あるよ?


…いや、柚希ちゃんのものって証が付いて嬉しいのは嬉しいけどさ…友達にバレたら絶対問い詰めらちゃうんだけど。絶対からかってくるよ。コンシーラーとか持ってきとけばよかった…


「柚希ちゃん…意地悪…絶対見える場所にわざと付けたでしょ。みんなにバレちゃう…」

「いいじゃないですか。バラしちゃいましょうよ。そして、見せつけるんです。こんなにラブラブですよって」

「やだよ…恥ずかしいし。なにか隠すやつない?」


結構ちゃんとマジで隠したい!最悪手で押えて生活もやむを得ない。


「あーー。今の、キスマ隠す方法ありますよ?」

「え?ほんとに隠して隠して!」


なんか「今の」ってとこ強調した気がしたけど…何かしらで隠してくれる見たい、良かったぁ


「じゃあ、隠しますね?…んっ。ほら隠れた」


……え?え?いやいや隠れてなくない?むしろ濃くなってない?


「え、なんでまたキスマつけたの?隠すって言ったよね?」

「隠しましたよ?さっきのキスマは。今見えてるやつは今つけたキスマなのでさっきのキスマは隠れてます」

「いやいやいや!屁理屈じゃんか!隠れてないし!濃くなってるから!」


マジで!どうしたらいいのこれーーーーー!

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