第6話「無限と剣」

R18版 

https://www.alphapolis.co.jp/novel/325455619/435871618/episode/8292451


 異世界生活4日目


 色々アップデートしたいと思うが、いつ魔力を使うのかわからないので寝る前にやるのがいいのかなと思った。


 朝食を摂りに食堂へ向かうとエリザさんが食事をしているところだった。


「エリザさんご一緒いいですか?」


「もちろん」


 俺はエリザさんの向かいの席に座りダイニングに入ってきたウェンディさんに朝食を頼む、来るまでの間エリザさんに回復魔法を覚えたことを伝え、回復魔法でどこまで直せるのか教えてもらえるようお願いする。


「魔法について教えていなかったこともあったのでついでにお教えしますね。魔法には熟練度というものがあります」


 熟練度かスキルみたいなのにレベルがあることは村長が支配者とか統率力にレベルがあったので知っていたが、魔法にもレベルみたいなものがあったとは考えてもみなかった、棒RPGみたいに名前の最後の一文字変えたり、ファイア、フレイムみたいな感じに分けられてると思った。


「その熟練度いかんによって回復できる範囲が変わってきます。例えば回復魔法熟練度1は擦り傷や火傷などの表面的なものを治します、熟練度3まで行けば骨折とか捻挫やらを治せます。私は見たことありませんが熟練度10までいくとちぎれた腕を再生とかできるみたいですよ」


「それはすごいですね。熟練度があがったら魔力の回数はどうなるんですか?」


「熟練度が上がっても1回は1回です」


 なら熟練度は上げていった方が絶対いいな。


「どうやって熟練度を上げるんですか?」


「ひたすら同じ魔法を使うことで熟練度が上がります」


「それって熟練度上がった! ってわかるものなんですか?」


「はい。普段私達って意識しないでも歩いたりできますよね。それとおなじ感覚になったと思ったら熟練度が上がったってことになります。まあ、強くなった分また使い続けて慣れなきゃってなるんですがね」


 それかなり曖昧なのでは。そういえば自分のステータス見てなかったな。

俺はステータスを開き魔法の熟練度を確認する。


[火魔法1熟練度0/10、水魔法1熟練度0/15、回復魔法1熟練度0/10]


 炎魔法だと思ってたけど火魔法だったのか、そしてこの数字は10回使ったら火魔法と回復魔法の熟練度が上がるってことだよな、良かった指標があって。


「いろいろありがとうございます。また何か教えてください」


「いいですよ」


 丁度いいタイミングで朝食が運ばれてきた。


「ウェンディさんありがとう」


「いえいえ、ゆっくりしていってくださいね」


 ウェンディさんがダイニングからでていったタイミングでエリザさんが俺の横に座ってくる。


「ねぇ。いろいろ教えて上げたんですから私にサービスしてくれてもいいんじゃないですか?」


 身持ちが硬いと思っていたがただのエロ魔導士だった。

コミュニケーションテリトリー発動。


[コミュニケーションテリトリー 1/2]


「やっぱりこの魔法変な感じしますね。この世界の魔法じゃないから?」


【勉強熱心ですね】


【どんなエロいことしたいの?】


【先に食事済ませていいですか?】


[リミットタイムは1分です]


 さすがに一番だと思うけど、エリザさんの心守備力なんぼだったかな。


[心守備力140/280]


 結構高いな話術使うにしても魔力3回分か、魔力を温存したいけどいつ難しい選択肢がくるかわからないので、短期決戦でいくか。


「勉強熱心ですね」


「勉強? しているんでしょうかね。確かに興味深いですが、私が解析できるような代物でもないですね」


「そうなんですかね。やっぱり異世界から来た人間が使う魔法ってことになるんでしょうかね?」


「魔力の消費はこちらと同じなので、新しい系統の魔法が誕生したって考えたほうが自然ですかね」


[魔力8/9、話術170]


【勉強熱心ですね-10】


【どんなエロいことしたいの?-15】


【先に食事済ませていいですか?+50】


[魔力8/9、話術170]


[心守備力80/280]


 2番目もないと思っていたけどもしかしてエリザさん発情しているのかな。


「アイガさんは今日は何をするんですか?」


【村長の家に行こうかなと】


【逆にエリザさんは何をするんですか?】


【1日中エッチなことしますか?】


[リミットタイムは1分です]


 どれもいけそうだけどこの場合は一番数値が良さそうなのを選ぶのがいいかと思っていたが、村長との友好を深めたいので正直に言おう。


「村長の家に行こうかなと」


「村長さんですか?」


「ええ、女性とコミュニケーションテリトリーを使うと幻想空間に行きますよね。男性だとどうなるのかなと?」


「え? そっちの趣味もあるんですか?」


 断じて違う。


「その趣味はないですが、それも含めて試してみようかと、いざという時は逃げます」


 まあ、最悪心守備力超えればいいんだけどね、三択の話は説明がなんというかめんどくさいのでエリザさんにはコミュニケーションテリトリーで会話するとエッチな空間に行くとだけ伝えてある。


「なるほど」


[魔力7/9、話術120]


【村長の家に行こうかなと+10】


【逆にエリザさんは何をするんですか?-30】


【1日中エッチなことしますか?-10】


[心守備力40/280]


 まじか、正直に言ったのにプラスになってしまった、幸い話術を使ったからマイナスにはなったけど、このエロ魔導士のエゴがすんごい。


「私も一緒に行こうかな?」


【男同士の間に挟まるな】


【来ますか?】


【暇なんですね】


[リミットタイムは1分です]


 はいはいわかりましたよ一緒に行きましょうか、魔力がもったいないので話術は使わない。


「来ますか? 俺はエリザさんが来てくれたら嬉しいです」



「しかたないですね。一緒に行ってあげますか」


 めんどくさい人だな。


【男同士の間に挟まるな+20】


【来ますか?-20】


【暇なんですね+15】


[セリフボーナスが付与されます-50]


[心守備力0/280]


[幻想空間]


 ナレさんがなげやりになっている、そしていつもの部屋に転移する。

そしていろいろ意地悪しちゃったからめちゃくちゃ怒られた。

 怒った顔も可愛い。


[アイガ、レベル7、HP45/50、魔力7/10、攻撃力49、守備力42、素早さ35、賢さ40]


[スキル吸収、HP45/52、魔力7/10、攻撃力52、守備力44、素早さ37、賢さ55]


[エリザ、レベル8、HP14、魔力8、攻撃力14+5、守備力13+5+(31)、素早さ22-1、賢さ80

、心守備力280/560、好感度2、処女、好感度ボーナス2000ジュル]


[4420ジュル]


 ナレがどんどん省エネになっていく、そういえば理解度とかいうのがなくなっている。


[理解度を必要とした異世界転生者が死亡したため、この世界から理解度の能力が消滅しました]


 なるほど必要ない能力は消滅するんだな、いやいや異世界人いたのかよしかも死亡って。

今、異世界人って何人ぐらいいるんだろう、エリザさんが言うには数百年に一人って言っていたけど最後の一人だったのかな。

 朝食を済ませ俺達は村長の家に向かった。


「いらっしゃい。今日はエリザさんもご一緒ですか」


 どうやら村長はエリザさんと面識があるらしい。

おもてなしを受け雑談が落ち着いた段階でコミュニケーションテリトリーを発動する。

横にいたエリザさんがいなくなる。

[コミュニケーションテリトリー 0/2]


「アイガ君はこの村に来る前はどこにいたのかのう?」


【遠い所にいました】


【話しても信じてもらえないかもしれません】


【異世界から転生してきました】


[リミットタイムは1分です]


 どれを選んでもいいかもしれないけど、村長さん賢さ高いし噓や適当な返事は見破られそうだ。


「異世界から転生してきました」


「おお。やはり異世界の方でしたか」


 ばれてたのか。


「よくわかりましたね」


「この村は平和ですが、今の世のなか剣も持たずに出歩くものなんていませんよ、村の子供でもナイフぐらいは持ってますじゃ」


 それはバレてもおかしくないな。


【遠い所にいました+10】


【話しても信じてもらえないかもしれません0】


【異世界から転生してきました-10】


[心守備力0/10]


[無限空間に転移します]


 無限空間ってなんだろう、まさかこのまま村長とムフフな展開になるのでは。

目を開けると村長の家とは違った家にいる。


「アイガ君。座りなさい」


 村長に促されテーブルを挟んで村長に向かい合うように座る。


「アイガ君にはわしの統率力のスキルを伝授しよう」


 もしかして男性のコミュニケーションテリトリーをクリアできたらスキルを貰うことができるらしい。

 それからこの空間で15日間過ごした。

この空間で生活してわかったことは、ここでは何をしてもステータスは上昇しない、試しに火の魔法を使いまくったが熟練度が上がることは無く、筋トレをしても攻撃力が上がることは無く、睡眠と食事を摂らなくても平気で、時間自体が進んでいないようだった。

それでも村長が俺に教えようとすることだけは頭に入ってくる、村長自体はこの空間に何も言及せず、むしろこの家にいるのが当たり前のようにふるまっている。

そして150日後、俺は統率力を手に入れることができた。

村長とも仲良くなれたが、今までのパターンなら元の世界に戻ったら忘れているんだろうなと思ったら少し寂しい感じがした。


[アイガは統率力レベル1を習得しました]


[村長のステータスとディスクロージャーを更新します。名前ワンレス、村長、レベル35 HP75、魔力1/1、攻撃力25、守備力20、素早さ7、賢さ250、心守備力10/20、信頼度1/5、信頼度ボーナス30000、固有スキル、支配者レベル5(町長) 統率力レベル3]


[19420ジュル]


 目をあけるとエリザさんが横にいる。


「アレ使ったんですか?」


 どうやらエリザさんは気づかなかったようだ。

村長の方をみると、何事も無かったようにしている、とても残念だ。


「アイガ君は剣を持っていないね、少し待っていなさい」


 村長は部屋を出ていき数分もしないうちに戻ってくる。その手には紺色の鞘に収まった剣を持っていた。


「これを君に上げよう。わしが若いころに使っていた剣じゃ、古いものだが手入れを欠かしたことはないから今でも十分使える」


「そんな悪いですよ、手入れを欠かしたことがないって事は凄く大切なものなんでしょ?」


「気にしなくていい。変に思うかもしれないが君とは長い事一緒いたような気がするんじゃ、自分でも不思議だと思う」


 ああ。一緒に過ごした記憶はなくても心には残ってくれていたんだな、俺は凄く嬉しくなった。


「アイガさん泣いているんですか?」


 言われて気が付いた俺は泣いていた。

村長から剣を受け取り村長を強く抱き合う、本当に仲のいい友人みたいな感じだ。


「変なの」


 エリザさんの呆れた声が聞こえたけど気にしない。

村長に分かれを告げ俺達は宿に戻りそれぞれの自室に入る。

ベッドに横になり村長から貰った剣を鞘から抜いてみると刀身に顔が映るぐらいぴかぴかだった。

さて、今日は魔力が7残っているのか、俺は昨日できなかったステータスを見る能力のアップデートをする。


[魔力を3使用し、ステータス及びディスクロージャーを統合し、新たな効果を付与します。進化スキルディティールを習得しました。以後ステータス確認はできなくなり代わりにディティールを使用することができます]


 よし。次は話術の回復だな、予想通りなら55回復するはず。


[魔力を1消費し話術が55回復します、話術175]


 これも思った通りだ。

ついでにもうひと回復しておこう。


[魔力を1消費し話術が55回復します、話術230]


 魔力はあと残り二回か、とりあえずスキルの項目を確認しよう。


[項目の詳細を調べるのに魔力を1消費ます。どの項目を調べますか?]


 なんだと項目を調べるのに魔力がいるのか、とりあえず統率力と吸収について調べるか。


[魔力0]


[統率力は管理する事の出来る兵士の数に影響します、レベル1毎に100人の兵士を管理運営することができます、統率力レベル以上の兵士がいた場合は、離脱する場合があります]


 くれたのは嬉しいけど使いどころがないよ。


[吸収は幻想空間を抜け出した時に、ステータスを強化することができます。賢さ以外はレベルによって変動します。また特性レベルを上げることにより、吸収のレベルを上げることができます]


 やればやるほど強くなれるのか、積極的にやりたいけどコミュニケーションテリトリーが1日に2回しか発動できないから急には強くなれないか。

まあ、強くなってどうするってわけでもないしな。

ディティールを閉じ、再度開くそして統率力と吸収の項目をみると、説明文がちゃんと見れるようになっている。

 魔力を使い切った俺は疲れと共に眠りに付いた。

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