Web小説のクズ男に転生した。ざまぁされたくないので真面目に過ごしてたら、なぜかヒロインたちに囲まれてます。
参戸芽 ショウジ
プロローグ
(あれ、俺どこにいるんだ……?)
目を開けると知らない天井に知らない家具、いつもの自室とは違う光景が広がっていた。
そして意識の覚醒とともに、自分のものではないもう一つの記憶が流れ込んでくる。
「うわっ、なんだこれ……頭がっ」
そして同時に理解する。自分はすでに成瀬 隆一ではなく、
「まさか、転生したのか……?」
生粋のオタクでライトノベルやWeb小説といったコンテンツを常に嗜んでいた隆一は、すぐにこれが転生だということを理解する。
もちろん、そんなことが現実で自分の身に起こっていることをすぐに受け入れられるかどうかは別だが、鏡を見てまったく別の顔になっているのを確認すると、そうとしか考えられなかった。
「てか、獅子堂 拓海って……ざまぁ対象のキャラじゃん!」
獅子堂 拓海は隆一が転生前に読んでいたWeb小説のラブコメに登場する人物だ。
いわゆるざまぁ対象の悪役で、ヘイトを集める行動で読者をモヤモヤさせ、そのキャラが酷い目にあうことでスカッとしてカタルシスを与える存在である。
キャラとしては主人公が通う高校の不良で、主人公をバカにしたり、主人公の周りのヒロインたちに強引に手を出すようなクズ男だ。
「最悪だ……」
隆一は人との争いが苦手で、ひとりで静かに過ごしたいタイプだ。
(ヒロインに好かれなくてもいいから、俺はざまぁされずに静かに過ごしたい)
作品内の悪役に転生する物語では、原作に反してヒロインたちに好かれていく内容のものが多い。隆一も転生前にはそう言った作品をよく読んでいた。
しかし、隆一はヒロインに好かれることよりも平穏に過ごせることの方が重要だった。
「今日は……よし、日曜日だな。それにまだ日付も、原作の物語が始まるよりも前だ。明日学校が始まる前に、まずはこの見た目を変えよう」
獅子堂 拓海の姿は金髪のロン毛で髭が生えており、耳にピアスの穴も開いていた。
Web小説はイラストが存在せずキャラクターの姿を見たことがなかったため、少し新鮮だった。
(よく考えたら、他のキャラクターの姿も見られるってことだよな……まぁ、それも少し楽しみだが、第一優先は目立たないようにすることだ)
ということで、隆一……改め拓海は見た目を変えるべく洗面所に向かった。
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