片付けられない同居人は、コーヒーを淹れるのだけは上手い
Koyura
第1話
「いい加減に片付けてって何度も言ったよね!!私はあんたの清掃係じゃ無いのよ!私も仕事で疲れて帰って来てるのに、こんな部屋じゃ休めない!寛げない!」
大学卒業から付き合って5年、なのに同棲始めて3ヶ月で彼女はキレて出て行った。
僕は本当に片付けるのが苦手なのだ。
靴下はすぐに片方を何処かにやってしまい、また新しいのを買って、それもどこにしまったか、靴下を入れている引き出しを開けると靴下の海になっていた。荒波だったので引き出しを閉めたらはみ出した。下着も同じだ。上に着る服と混じってあるので探すと引き出しの中で更にどこかへ行く。引き出しはどの段もきっちり閉まらない。
シャツは畳むのを諦めてスチールのハンガーラックにかけているが、半袖と長袖でごちゃごちゃになっている。
服の上に服を掛けていたりするので、探す時やっぱり大変だ。その時に下に落ちてしまった服は後で片付けるつもりでそのままだ。
ソファーには洗ってない服が背もたれに掛かっている。
小物も多くて爪切りは一つ全然切れないのを含めて3個、ほとんどの文房具は2個以上ある。無くしたと思ってまた買ってくるからだ。
会社の資料も入社してから五年分ある。何かの通知書も紙のものは積まれている。
彼女が出て行ったのを機に片付けようとして、テーブルに散らかっているものを取り敢えず下に置いたら床の踏み場が無くなった。
貴重な休日の大半を使って分かった事は、僕一人では、若しくは僕では無理だと言う事だった。
ポツンと広くなったはずの部屋で、一人泣きそうになり、唯一の友達に連絡した。
「
次の日、わざわざやって来た
高校と大学で一緒で仲良しだったのに、卒業して社会人になってからは、連絡はこちらから偶にしていたものの会ってはいなかった。
精神的に落ち込んでいたのと、久しぶりに直生の顔を見れて嬉しかったのとで涙腺が緩んでしまったようだ。
取り敢えず、ご飯を奢り、自分の家へ足取り重く友人を連れ帰った。
道すがら、5年も付き合っていた彼女に振られて出て行かれた事、片付けや、もちろん掃除もできない事を恥を忍んで打ち明けた。
「5年付き合ってて、散らかしたくらいで別れる⁈」
と信じられない様子だったが、家に着いて中に入って
「そんなに汚れてはない…」
と言って間が空いた。
「…どうしてこうなる前に片付けなかったんだ?」
「片付けようとして、こうなった」
「そうかー、苦手だって昔から知ってたがこれ程とは。ごめん、文実の散らかしを甘く見てたよ」
直生は苦笑して辺りを見回した。
「取り敢えず、コーヒー、久々に文実の淹れてくれたの飲みたいな」
僕は慌てて
「すぐ淹れるから、えっと、ソファに…適当にモノ退けて座って」
直生は僕がコーヒーにこだわって豆から引いてたのを覚えていた。
少し嬉しくなって丁寧に淹れた。
「全部いっぺんにするから収拾がつかなくなるんだ。コーヒー飲んだら…引き出しから始めるか、いや、このソファに乗ってるのをまず仕舞う…その場所が無いのか」
直生はぶつぶつ言いだした。
僕は申し訳なくて小さくなっていた。
「はあ、コーヒーは美味しい。コーヒー飲みには失うのに惜しい人材だ」
「なぜ消す?」
コーヒーを飲み終わり、億劫がる僕を引きずるようにタンスの前に連れていかれた。
「取り敢えず収納場所を取り戻すぞ」
僕は直生の側に付いて、衣服の整理から始めた。
「着る、着るかも、着ないで分ける!」
服の分類から始まって、途中休憩を入れて、物の整理、棚、テーブル、ソファの上の物をしまう。
洗濯物は洗濯機へ。
僕は風呂や台所のコンロをナオに言われるまま掃除した。
床の物が無くなって、掃除機をかけ終わって感無量だった。
見渡す限り、仕舞われてないモノが無い!
要らない物が出ていないと、こんなに部屋がスッキリ片付いて、広くなるんだ。
彼女の残していった物も無くなり、心の洗濯と片付けもできた。
直生は最後に台所を片付けて、途中スーパーで買って来たと言う材料でカレーを作ってくれた。至れり尽くせりだ。
「カレーの作り方なんて、カレールーの箱に書いてあるから読め!」
僕が旨旨言いながらも食べてると、直生は箱と僕の頬を突ついて言った。
そうして帰っていったのだが、直生は2週間後突然現れた。
「そこに座れ」
上に乗っている汚れた服を横にずらしてソファに座り、その前で僕は正座していた。
「まだ2週間で抜き打ち検査に来たら案の定だ。何故、またここまで散らかるかな⁈」
「申し訳ございません。仕事が忙しくて帰ったら何もやる気が出ず…」そのまま土下座した。
「言い訳するな!」
「はい」
「俺さ、もうすぐ転職して家で仕事するんだわ」
ため息と共に直生は言った。
「はあ」
「これを機に、家を移ろうかと考えていた。いっその事、ここに引っ越して来てもいいか?」
「えっ⁈」
ガバッと上半身を起こした。
「いいの?直生に良い事無いっしょ?」
「いや、偶に会社行く時、ここが駅の乗り換え便利で近いんだよね。部屋空いてるだろ?家賃助かるし、僕が居れば常に綺麗に保てる。こんなになるまでにな!」
僕は一瞬固まったが、秒で考えはまとまり、再び土下座した。
「直生様が良ければ、是非お願いします、家に来て下さい」
直生は本当に引越ししてきて、2LDKのそれぞれの部屋に落ち着き、僕達の同居は概ね上手くいっていた。
直生がまた片付けてくれて、それから部屋は綺麗なままだ。
何故なら、毎日僕が帰って来ると、直生は玄関まで迎えに出て、カバンの中を確かめて、部屋まで着いて来て置くところを指示し、スーツはブラシをかけて吊るし、着ていたカッターシャツは脱がせてハンカチと合わせて回収していくからだ。散らかす隙が無い!
しかも、美味しいご飯と、最近は弁当まで作ってくれるようになった。
手間だし、早起きさせるのが申し訳なくて何度も断ったが、「昼寝できるし、自分の昼食のついでだから」と気軽に言って作るのを止めない。
掃除も、要領良くする方法を習っているが取りこぼしが多い、そうだ。自分では完璧にできていると思っているのだが。
つまり、直生に全面的に甘えている生活だ。
申し訳ないので、外食に誘ったり、会社の人に聞いて、甘い物が好きな直生に、流行っている菓子を買って帰ったりした。
今日も僕が風呂は最後なので、ワイパーで水滴を落とし、床を洗って最後に綺麗な雑巾で壁を拭く。換気は風呂から出たら付けっ放しだ。
最初は直生にやって貰っていたが、僕の方が帰りが遅いのでやり方を習い、実践して直生に許可をもらったので、風呂から上がる前のノルマにした。
ちょっと疲れるけど、カビが全然生えなくなったので、気持ちよく湯船に浸かっている。
そうして僕は眠ってしまうとそのまま朝まで起きる事はまずない。熟睡できる性質なのだ。
なのに、直生が来てから3ヶ月ほど経った時、夜中にふと目が覚めた。
上に直接は何も乗っていないのに圧迫感を感じて、顔を何気に動かすと、唇に何か柔らかい感触がした。
寝ぼけて何故か食べ物だと思った僕は口を少し開けて、その何かを唇で柔らかく何回か噛んで、満足してそのまま寝てしまった。
その時は、朝になったらすっかり忘れて、何日か何事も無く過ごしていたが、その週末、また同じ様な圧迫感と口に何か掠れたように感じて目を覚ました。
しかし、身体が動かない。俗に言う金縛りだ。開かない目を必死にこじ開けると、少し開いた目に黒い物が映って迫ってくる。思わず悲鳴を上げようにも微かな息しか出てこない。
僕は必死になって声を絞り出した。
「助けて、直生、直生、助けて」
もう駄目だ、と恐怖でぎゅっと目を瞑った。
「文実、文実!大丈夫か⁈」
身体を揺さぶられて、僕はようやく止まっていた呼吸を思い出してはあはあ息をした。
明かりがついて、直生が心配そうに覗き込んでいる。
「文実、落ち着け、ゆっくり息しろ」
直生は僕の胸に手を当ててゆっくり摩った。
言われるまま深呼吸して、やっと身体が自由に動く事ができて、全身の力を抜いた。
「どうしたんだ?悪い夢でも見たか?」
「いや、金縛りで、人生初だからパニックになってしまった」
直生はブフッと吹き出して
「それは大変だったな」
と笑ったが、僕が汗まみれな事に気付き、タオルを取りに行った。
直生は水を飲みにリビングに居て、僕の異変を感じて部屋に来たらしい。
僕は起き上がり、おとなしく直生が戻ってくるのを待った。
直生はわざわざ水に濡らして絞ったタオルをレンジで温めてくれて僕に渡した。
僕は上の寝巻きを脱いで拭き始めた。
ふと、直生を見た。
直生は目を見開いて固まっていた。
「え、どうした?なんか跡付いてるとか⁈」
僕は首に絞められたような跡があったらどうしよう、と言ったら、首を振って目を逸らしたが、顔が赤い。
「肌の色、白いな、と思って」
「お、おう、外に出ないからな」
何となく気まずくなって、拭き終えたタオルを洗面所に持って行こうとしたら、直生が押し留めてタオルを奪った。
「早く着替えろ、風邪ひくぞ」見るとベッドの上に新しい寝巻きが置いてある。
衣類を一緒に片付けたので直生は服の場所がわかっている。
結局直生はついでにタオルと脱いだ寝巻きを持っていくと言うので
「悪いな、ありがとう」僕が礼を言ったら、直生は頷いて「お休み」と部屋から去った。
「僕の声、聞こえたんだな」
ドアを閉めていて、自分では小さな声しか出ていないと思っていたが、ドア越しに直生の居たリビングまで聞こえていたんだ。
そのまま、寝ようとして、明日は外回りで弁当が要らないことを言うのを忘れていた事に気付いた。
今頃言っても遅すぎるが、直生は朝早く起きて用意してしまうので言っておこう。
僕は起き上がると直生の部屋へ行った。
戸が少し開いていたが、構わずノックしようと手をグーの形にした。
「文実…」
小さな声でぼくを呼ぶ声がした。叩く前に手が止まった。
「あ、ああ…」
まさか、直生まで金縛り?僕の部屋に来たから憑いていってしまったのか?
早く助けなければと思いつつ、幽霊の類が苦手な僕は情け無く震えながら、扉を少し開けて中を覗き込んだ。
「文実、いい、いいよ」
ん?僕?
そこからはベッドの下半分が見えた。薄暗がりの中、直生の下半身も見えた。
下は何も身に付けてなかった。裸で寝る人はいるらしいから、そこは、それとして、問題は股に手を当てている間に挟んでいる物だった。
僕のさっき着替えた寝巻きと思われるズボンだった。
直生は僕が居るのに気付いていないようで、服の上から自分の物を扱いている。
僕はもう少しだけ戸を開けて上半身の方を見ると、思った通り、寝巻きの上を顔に当てて喘いでいる。
「文実、好き、好きだ、文実」
咄嗟に声を上げそうになるのを手で防ぎ、そうっとそこから遠のいた。
口を手で塞いだまま、自分の部屋に戻った。心臓がバクバク言ってる。
あれは、どう見ても自慰をしていた。
僕を性的な意味で好きだったんだ。
しかも、男の僕をおかずにして、あの後僕の寝巻きに直生のを出すんだろうか。
洗濯も平日は直生がしているから、当然気付かなかった。他の服も同じ目に遭ってるのか?
金縛りの事など記憶から飛んでしまった。どうすれば良いんだろう。
その日の朝、僕は結局眠れなくて直生より早く起きてしまい、コーヒー豆を挽いていた。
ぼーっとしたままコーヒーを二人分淹れる。
「あれ?文実、おはよう、早いな」
部屋着の直生が戸惑いながらリビングに出てきた。
いつも起こされている僕がいるので驚いたのだろう。
「いい匂い、僕の分もある?」
「うん」と言ったが酷い掠れ声になってしまい、思わず咳き込む。
「大丈夫か?あれから幽霊また出た?」
「えっ⁈」僕は思い切り驚いてしまった。明らかに挙動不審である。
「え?」
「あ、あの、ユーレーが気になって眠れなかったから大丈夫!」
「ええ?大丈夫じゃないよ、それ」
「そうだ、今日弁当要らないから!外回りなんだ。昨日言うの忘れてて、ごめん」
捲し立てるように言うと、食器棚にコーヒーカップを取りに行った。
サッと掴むとテーブルに戻り、上に置いた。
ガン、パキ。
「あ」
僕は片方の指に残った取っ手を見つめた。本体はテーブルに転がっている。
思ったより置く時に変な力が入ってしまってたようだ。
よりによって直生のカップをやってしまった。
「〜ごめん!割ってしまった!」
コップを拾おうとすると、その上に直生の手が重なった。
「危ないよ、気を付けて」
少し冷んやりした手だ。
夕べこの手で…手の動きと喘ぎ声まで思い出してしまい、咄嗟に振り払ってしまった。
「文実?」
「ご、ごめん、手が冷たくてびっくりした」
しどろもどろ言い訳した。
「ああ、そう、冷え性なんだ。掃除機持ってくる」
直生は静かに立ち上がるとリビングの端に立てかけている掃除機を取りに行った。
駄目だ駄目だ、平常心平常心。
スマホで『幽霊、金縛り』と検索すると、脳の睡眠状態とストレス等で起こる、と出てきた。
それで、あのことを思い出した。
覆い被さる黒い影、唇に触れた、何か…何?
「直生」
直生は掃除機のノズルを変えて、テーブルの上を吸わせていた。
「直生!」
掃除機が静かになった。
「夕べだけじゃ無くて、その前から僕の部屋に寝ている間何回も来てたんじゃないのか?」
直生は黙ってテーブルの上を見つめていた。
「そうなんだな?」
「違うよ」直生はポツリと言った。
「1回だけだ。昨日より以前は」
「じゃあ、夕べ着てた僕の寝巻きはどこ?」
直生の顔がカッと赤くなった。
「直生?」
溜め息を吐いた直生は渋々言った。
「僕の、部屋。文実が早く起きるから洗濯カゴに入れられなかった。やっぱり見たのか?」
はっきり覗いたと言えず無言で返した。
「ちっ、恥ず…ちゃんと洗うから」
「そう言う問題じゃない!いつからそんな目で僕を見ていた?」
「高校で同じクラスになった時から」
直生は少し不貞腐れて言った。
「え?早っ!そんな前から?」
「一目惚れ。そして仲良くなって中身も好きになった」
「でも、そんな素振り見せた事」
「大学四年の時、思い切って文実に大好きだって言っただろ?文実も『僕も好き』って言ってくれたけど、僕の想いと違うのわかっていた。でもそれで満足して、辛いからもう関わるの止めようと思った」
確かに言われたから軽く返した。直生がどんな気持ちで言ったかなど考えもせずに。
テーブルに水滴が落ち始めた。項垂れた直生が泣いていた。
「僕の事、気持ち悪いよな。でも、お前も悪いんだ。久しぶりに会っても相変わらず片付け下手で、不器用で、ほんと、文実は変わらなくて、お陰で僕も変わらず、文実を好きなの気が付いてしまった」
直生は掃除機を持って元の場所に返してくると、タオルを取ってきて顔を拭いた。
「他の器で良いからコーヒーくれないか?最後に文実の入れたの飲んだら出て行くから」
テーブルの椅子に腰を下ろした直生は、口元は笑っていたが赤くなった目で僕を悲しそうに見た。
胸がズキっと痛んだ。こんな顔をさせたくなかったのに、思わず言ってしまって後悔した。
僕は自分用のカップに淹れたてのコーヒーを注いで直生の前に置いた。直生は何か言いかけたけど、カップを手に取ると砂糖やミルクも入れずに飲んだ。
「直生、砂糖と牛乳は?入れてただろう?」
「本当は文実のは入れなくても飲めるんだ」
僕はムッとして言った。
「直生は隠し事だらけだ」
「言えなかった。でも、コーヒーは文実と離れて、他のを飲むようになって気付いたんだ」
直生はコーヒーを惜しむように飲んだ。
「文実のは優しい味がするんだ」
「違う、直生がそう思い込んでるだけだ」
「そうかもね、でも、もう良いんだ。他のコーヒーを飲む時は砂糖とミルク入れるよ」
直生は立ち上がると飲み終わったカップを流しに持って行こうとした。
僕はカップを持った手を包んだ。
直生の手は震えていて冷たかった。
「洗わなくていいよ、僕も飲むから」
「文実はコーヒー入れてから飲み終わるまで長いし、忘れるから茶渋が出易いんだ」
そう言いながらもそのまま手を振り解こうとはしない。
「いいよ、僕の古いし付きやすいのは仕様がない。僕が出すから今度一緒に直生が選んだのでいいからお揃いのを買いに行こう」
直生は、目を丸くした。
僕は手を包んだまま直生の目を真っ直ぐに見つめた。
「出て行くな。ここに居て」
「でも、僕は」
「直生が居なくなったら、この部屋はまた散らかり放題になるよ、きっと」
「断言しないで、努力しろよ」
コーヒーの豆は出してそのままで、ミルもそのまま、コーヒーかすが入ったフィルターもだ。でも、今はそんなのを片付けている場合ではない。
「努力するよ、直生の気持ちが分かるように。だから片付けは頼む」
「文実、良いんだよ、僕の事なんて」
「頼むよ」
僕は直生をカップを持った腕ごと抱きしめた。
「直生の気持ちも大事にしたいんだ。もう、ここに直生のいない生活なんて、考えられない」
「何だよ!そんなこと言われたら、勝手に期待してしまうだろ」
直生は泣き笑いの顔になった。
「直生が居ないと駄目なようにしたのは直生だよ」
「そうか、そうだな。じゃあ、仕方ない。朝ご飯作るよ」
「よろしく」
「こちらこそ。コーヒー淹れた後片付けてね」
「う、今すぐします」
僕達は最初からやり直しだ。今回は僕がまだ片付けや掃除ができるようになったのでよりスムーズだ。(の筈)
それから、更に1年近く経って僕はやっと直生の好きを理解した。
僕も直生をより好きになっていた。もちろん彼女よりも。
「キスは起きてる時にして」
「そうする。まさか金縛りになるとは思わなかった」
直生の顔が近付いて僕達はキスした。
「嫌じゃ無い?」
「全然!」
僕は自分からねだって何回もした。
「僕の服で…しないで」
「後で洗うから」
「駄目だって!」
「じゃあ、洗濯物はすぐカゴに入れて」
「すぐじゃ無くて洗濯する時でいいじゃないか」
「そうすると忘れるから駄目だよ」
流石にこれは言いづらいけど
「服じゃ無くていい加減僕を使えよ」
言った、言ってやった。
直生は真っ赤になった。
「それができたら、服とはしないけど」
「当たり前だろ!直生は本人より体臭のする服じゃないと発情しないのか?」
「そんなこと無いよ!そりゃ、文実とがいいに決まってるって、いいのか⁈」
「気付くの遅いよ。僕も直生としてみたい」
男同士のSEXのやり方をネットで調べた。下準備の凄さに僕は挿れる方を主張したが、直生が座りっぱなしで痔になったから無理と言われた。
やる時手伝うからと張り切る直生を抑え、泣く泣く直生を受容れるのを承知した。
週末、遂に直生と一つになる為の準備をした。
風呂に入り…中々羞恥心を捨てられず、ためらっていたら直生が強引に入ってきて、結局手伝って貰った。
恥ずかしくて死ねる…
お腹もぐるぐる鳴って落ち着かず、その間直生はあちこち愛撫して慰めてくれた。
僕の耳の穴がベチャベチャになって、乳首を散々いじられて膨れ立って赤く濡れそぼり、僕自身は手で扱かれたり、口でされたりして、ようやく指が中を探り出すと何度もイかされた。
「直生も気持ちよくなって」快感に耐えかねて足を開いて直生を抱き寄せた。
「じゃあ、挿れるね」ローションを塗られた直生のモノは思ったより大きくて、服越しにちらっと見ただけだったのでちょっとビビった。
「ほら、息吐いて、力抜いて。入んないよ」
「そんなこと言われたって」
僕が言い終わらないうちに入ってきた。
「あ、あ、やっぱり無理」
腰が引けそうになり、掴まれて引き戻されて、容赦無くぐっぐっと奥へ進んで埋まっていく。
「直生ぉ」
「大丈夫、もうすぐ全部入る、から」
「え?まだ?あ」
両膝を持たれてそれごと押さえ込まれた。
「入ったあ」
膝は放してくれて、その後無言で動かないので、よく見たら涙を流している。
「直生?」
「やっと、やっと文実を僕のにできた。長かった」
「う、ごめん。気付くのが遅くて。動いていいよ」
直生は恥ずかし気に言った。
「その前に、一旦ゴム変えさせて?」
「早すぎるだろ!」
「感無量で。次は大丈夫だから、ちょっと待ってて」
あっという間にまた大きくなったのを、今度はまだスムーズに入って、今度は僕がイってしまった。
なのに最初から容赦無く揺さぶられた。
「ちょっと、まだ、イったばっかで、や、何んか変」
「あー、気持ち良い!止まんないよ、文実、大好き」
「〜〜〜〜」
好きや愛してるやら散々言われて、こっちも恥ずかしいセリフを言わされ翻弄されっぱなしだった。
最後に縋りついて許して、もう駄目と言いながら気を失った。
「痛いよ」「ごめん」
「痛いよ」「何処が?」
「腰に足に…穴も、こんなに負担かかるなんて聞いてない!」
「そのうち慣れるよ」「無理」
風呂場で体を洗われて湯船に浸からされている。
「ジンジンする」
「ごゆっくり!」あ、逃げた!
直生はS気が有り、僕を正座させてる時勃起してしまい、元に戻すのに僕の彼女のことを考えたらすぐ萎えたそうだ。
何か指示して、やらされてる僕を見てるのが非常にクルと堂々と白状した。
やたら張り切って見えたのは、興奮していたからだ。
うえーってなったけど、今更嫌いにはなれなかった。僕はMなんだろうか?
コーヒー用のカップはすぐにお揃いを買って、今現在も使っている。
僕は恋人の為に丁寧にコーヒーを淹れるだけだ。
片付けられない同居人は、コーヒーを淹れるのだけは上手い Koyura @koyura-mukana
★で称える
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