俺のことが嫌いな俺の好きな人
ハンバーグ
愛しの彼女に好かれない
「ねえ、週末空いてない?」
俺は図書委員会で同じ曜日担当で、今隣に座ってる西野梨乃に話し掛けた
「なんで?」
彼女は気だるそうに聞き返してきた
「良かったらご飯とか行きたいなって」
とは言ったものの、結果は目に見えている。
「ごめん、ご飯とかは仲良い人と行きたいかな」
こんな感じで正直脈は無い。だが俺は西野さんのことが好きで、"好き"という感情は脈が無いくらいじゃ収まってくれないらしい。
「でも俺達客観的に見たら仲良くないか?」
「客観的に見てるのが答えでしょ」
そういってため息をついた
「西野さんってひどいよね」
「え、そう?」
少し驚いたようにそう言った
「だって」
催促するかのように、こちらを見てくる
「好きにさせといて、冷たいじゃん」
彼女は再び呆れた顔をした
「恋愛は好きに成った方が負けって、どっかの漫画に書いてあったよ」
「へー、じゃあその漫画貸してよ」
「なんか嫌」
「なら、西野さんが冷たくてひどい女ってことになるね」
「そこだけ切り取らないでよ。そもそもさ、なんで私なの?」
呆れてる西野さんも可愛い
「気になる?」
なんか嬉しくなって聞き返してみた
「だって、風岡君って結構モテるんだよ」
「え、どの辺が?」
これは初耳なので、普通に驚いてしまった
「私も顔だけは良いと思ってるよ。でも、しつこい人が嫌いなの。だから君のことは好きじゃない」
「しつこい人は嫌いなのに俺のことは嫌いじゃないの?」
「それは顔の分よ。観賞用としては満点だと思う。モテると言ったのは風岡君ってカッコいいよねみたいな話を女子が良くしてるからよ」
俺って顔しか評価されてないんだ。
「西野さんも見る目が無いね。俺はしつこいんじゃなくて諦めが悪いんだよ。努力家でもあるし、最後まで諦めない強い精神の持ち主なんだよ」
うっざと毒付かれた。西野さんがこんな態度するのは俺だけだ。それってつまり?
「俺以外には優しいし、裏表の顔の使い分けが凄い上手いよね」
「ここまで腹が立つ人は生まれて初めて会ったの。だから、使い分けが上手いとかでは無くて抱いてる感情の違いがそのまま顔と言葉に現れてるだけ」
はあ、とまたため息をつかれる
「じゃあ俺は西野さんにとって特別な人間なわけだ。嬉しいな」
「めんど」
こんな感じの掛け合いを永遠に続けている。なるべく人目が無い場所で。
「前から思ってたけど、教室では話し掛けて来ないのね」
それにはちゃんと理由がある。
「西野さんって意外とあんまり頭良くない?俺以外に見せないレアな態度を見られるんだから、それを逃す理由は無いでしょ?何言ってるの?」
「あーイライラするー」
そういいながら、見つめた横顔は少し笑っているように感じた。
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