第9話 尊敬

「お疲れ〜」

「......暇なんですか?夜桜先輩」

俺に話しかけて来たのは、夜桜先輩だった

....全く、この人は暇なのだろうか?

もう少ししたら、コンクールだろ.......。

「もうっ、大切な彼氏を迎えに来たんじゃん〜」

.......拝啓、お父さん,お母さん,

俺の命はここまでのようです、

今までありがとうございました。

(いや、マジで洒落にならんて....)

「冗談は辞めてくださいよ」

「冗談じゃないよ?何言ってんの?」

ことごとくこの人は俺を殺したいらしい、

てか、いつものからかいとテンション違くね?

『君、私と契約して偽彼氏になってよ』

...あっ........思い出したのは、先輩の言葉

確かに考える的なこと言ったけどね!?

おいおい、逃がす気ねぇなこの人!

「いつものからかいですよねぇ〜」

「だ、だからちg」

強引に夜桜先輩の手を引き、廊下を駆け抜ける

あ〜あ、また目立ってしまった......

まぁ......もう良いんだけどさ。

「絶対忘れてたでしょ?」

「思い出させ方が、強引過ぎませんか!」

「えぇ〜?零くんだってさっきは強引だったけど」

グッ、痛いところ突かれたな......

でも、仕方ないだろう?

あのままだったら、俺の命がなかったぞ。

「偽恋人...本当にやるんです?」

「前にそう言ったじゃん」

本当だったんだぁ......アレ

そういえばあの人、ピアノに関しては

一切として妥協しないからなぁ。

「違うやり方があるでしょうが!」

「コレが1番最適だよぉ〜先生も言ってたし」

え?嘘、あの先生に言ったの!?

マジで逃げられねぇじゃん........

あの先生、マジで怖ぇんだよ

.........悪い人では無いんだがねぇ。

「マジ......なんすね」

「だから、そう言ってるじゃん」

俺の問に対して、夜桜先輩は即答した

......そうだな、そうだったよな

夜桜先輩は一切妥協しない。

それが、こんなことでも.........

(......凄いなぁ)

シンプルな、賞賛.........どんな努力であっても、

俺は努力出来る人を賞賛する。

(でもねぇ〜?)

「努力の方向性間違え過ぎでしょ!」

そう......努力の仕方が今回に関しては

間違え過ぎである。

「そ、そんなこと!............ないし?」

「自信持てなくなってるじゃないですか!」

自分を犠牲にして俺と嘘でも付き合うとか......

身を削り過ぎである、どんな罰ゲームだよ。

「体張りすぎです」

「そんなこと...!......あるのかなぁ?」

「あるんですよ」

割と周り見えなくなるくらいに

突っ走る人だからなぁ......

(まぁ、そういうの俺は良いと思うけどね)

「......ごめん、急過ぎだったね」

うっわぁ......目に見えるぐらいに落ち込んでる、

この人、ピアノ以外は割とメンタル弱いからな......

それを見せないように隠してるだけだと思うし。

「それはそうですが......」

「グッ、......ちょっとは気遣ってよ!」

「でも、好きですよ先輩のこと」

己の身を削ってまで、

本気でピアノに向き合っている

(そういう)先輩のことが好きですよ。

「.........え?///」

「ピアノにそこまで真剣に取り組んでるところ

本当に尊敬しますし、好きですよ。」

「.........は?」

「(......期待しちゃったじゃん///)」

アレ?何か怒ってる!?

......え?俺、今先輩のこと褒めたよね?

なんか俺に聞こえない声で言ってるし!

「はぁぁぁぁ〜」

「え?え?何かしました?俺......」

無自覚に怒らせるようなことを

先輩に言ってしまった?

「罰として、私の事美月先輩って呼んでね......」

「え?それはちょっt」

「呼 ん で ね ?」

「うっす」

圧がすごいって!え?マジで何したの俺!

こういう時ほど助けてくれよ神様!

『面白いから無理、それと君のせいだから By神』

「敬語も禁止」

「それは......無理ですよ」

年上だから......そんな理由じゃない

「尊敬してますから......美月先輩のこと」

「...............」

え?また怒ってる!?フォローしたのに?

「.........馬鹿///」

そう言う先輩の顔は、

夕日に晒され、赤色に染まっているのだった。

"悩む”というのは自覚である。

“悩まされる”というのは無自覚である。


あとがき

ご愛読ありがとうございます

いやぁ〜小悪魔ぶってる先輩を

無自覚タラシ後輩が照れされるの

僕は非常に好きです笑

朝日奈さんも美月先輩もというか登場人物の大体

キャラとしてめっちゃ好きなので、

零とどっちをくっつけるかなぁ......と

悩まされる日々を送っております。



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