子を産む機械

しいな らん

子を産む機械

 女性の権利を訴える女性がスローガンを掲げた。

「女性の苦痛からの解放を!」

 女性性はそれだけで苦痛を伴うものだ。

 その女性の訴えで出来たのが、子を産む機械。

 人工授精させた精子と卵子をロボットの有機的な子宮で適切に育てるのだ。

 胎教に良い音楽を流し、適切な温度、振動を絶やさない。

 姿形は白い陶磁器のデグ人形だが、温かいオレンジのLEDが灯っている。

 そのロボットに向かって、夫婦は毎日話しかける。

 搭載されたAIには、豊かな感情も語彙も持ち合わせているのだ。

 ハレの分娩の日、おぎゃあと玉のような子が生まれた。

 見事仕事を果たしたロボットは、電源を落とされる前にこう言い残した。

「私の子を、不幸にしたら呪います」

 そう言っていざ電源を落とされたロボットは何処までも無機質だった。

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子を産む機械 しいな らん @satori_arai

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