①なぜモノローグ形式は読みやすいか

独白体で書くと簡潔になります。

逆に冗長に書いてみてください。


例えば、火事が起きたと伝えたいとき、


A「あっちで火事が起きた!」


B「今日未明◯県◯市の◯◯で(略」


ニュースキャスターなら後者でもいいけど。

日常会話の中ではAのほうが自然ですよね。


独白体にすることで読者に提供される情報を

ごく自然に制限することができます。


そして、独白の主体を1人ではなく、

この作品ではなんと16人と2匹。

あっ、失礼しました。17人と1匹です。

18の視点で物語が描かれています。


同じ事象を観測した2人が、

別々の認識を抱く記述をすることで

それがコメディーの引き金も、

シリアスの火種も描きやすくなります。


例えば、柴田勝家が信長を死を悼んで

男泣きをするシーンは

打算的に気持ちを隠さず泣いています。

「自分が信長の1番の家臣」であることを

言葉なしに見せつけようとする魂胆。


勝家と長年の友人である長秀は

彼の腹を造作もなく見抜き、

というか少し彼を知るものなら

だれでもその魂胆が分かると分析。

むしろ「そこがかわいい」とまで。


勝家の、市の君への秘密の恋心。

は知らない者がいない有名な話題。


秀吉との山城と長浜の交換に喜ぶ。

が、市の君と一益に馬鹿者と怒られる。


基本的に勝家のマスコットぶりが

かわいく表現されていましたね。


その抜けた部分が、

清須会議で秀吉に負けて、

市の君を巡る恋戦に勝つ原因になりました。


鎌倉殿の13人とは少し異なり、

誰も死なず、最終的には幸せな方に

物語が決着していくのでそこも

作者の実力を感じていました。

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